来店客の興味を喚起し、売場の鮮度感を上げる新商品。もちろん、カテゴリーの活性化につながることはいうまでもない。そこで今回、2018年秋・冬の新商品を対象に、売上金額を集計し、各部門の1位を抽出。本特集では、とくに注目すべき5つのカテゴリーについてヒットの要因を探ってみた。
新たな魅力を加えて幅広い支持を獲得
2018年8月~12月までに新商品・リニューアル新商品として発売された商品の売上を集計し、期間金額PIでランキングを抽出したところ(販売店率20%以上の商品が対象)、カテゴリーごとのランキング1位商品は、上記の図表に示す結果となった。
ライフスタイルや価値観が多様化する昨今、かつてのような爆発的ヒット商品は生まれにくく、メーカー各社も基幹ブランドに集中投資する傾向にあるため、ランキング1位商品は既存商品のエクステンションやリニューアル新商品が多い。RTD部門のキリンビール「キリン・ザ・ストロング ホワイトサワー」やシリアル類部門の日清シスコ「ごろっとグラノーラ チョコナッツ」、中華調味料部門の創味食品「創味シャンタン 粉末タイプ」などがその代表例だ。
これらはいずれも人気シリーズから発売されており、これまでにない魅力や機能的価値を加えたことで、新たなファンを獲得している。詳しくは次頁以降で紹介するが、共通していえるのは、その特性を生かして飲用・喫食シーンの拡大に成功している点だ。「キリン・ザ・ストロング ホワイトサワー」はこれまで清涼飲料を飲んでいたシーンにも進出し、「ごろっとグラノーラ チョコナッツ」は朝食だけでなくおやつとしても食べられている。「創味シャンタン 粉末タイプ」も中華メニュー以外に洋風料理の味付けにも使用できることを訴求し、売上を伸ばしている。
冬ならではの味わいを追求した限定品も健闘
一方で、冬場らしい新商品もランキングのトップに輝いている。米菓部門の亀田製菓「冬のつまみ種」やチョコレート部門のロッテ「ラミー」などだ。「冬のつまみ種」は、人気の「つまみ種」シリーズから発売された冬季限定商品で、エクステンション商品でもある。冬にぴったりの濃厚な味わいをミックスさせて、高い評価を獲得した。
「ラミー」は半世紀以上も愛されるロングセラー商品だが、冬季限定商品のためJANコードが変更になり、新商品とみなされた。実は、同じロッテの洋酒チョコレートに新フレーバーとして「ストロベリーリキュール」が発売され、SNS上でも話題となったが、売上においては「ラミー」が上回った。それだけコアなファンが多いということだろう。
このほか、冷凍米飯加工品部門のニチレイフーズ「炒めタッカルビ飯」のように食のトレンドをとらえた新商品も好調だった。こうした期間限定品や話題性のある商品は、売場づくりにも貢献し、よりいっそうのヒットにつながっているようだ。