ファミリーマート、若年層と女性を掴むマーケティングの秘策!

大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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独特の歌詞と踊りで
課題を解決する

フラッペ
夏場のFF商品の売上を牽引するフラッペ。シーズン本番前に認知度向上を図る

 そんなファミリーマートが次に売り込みをかけるのがフラッペだ。フラッペは、とくに夏場のファストフード商品の売上を牽引する重要アイテムだ。購入者の中心は20~30代で、全体の6割を女性が占める。販売を強化することで若い世代と女性客をさらに取り込みたい考えだ。

 戦略を立てるうえで同社が着目したのが、SNS上でフラッペについて「つくり方がわからない」という投稿が多く上がっていたことだ。

 そこで投入したのが記事冒頭のテレビCMである。カップ入りのフレーバー氷を、容器ごと揉んでほぐし、コーヒーマシンでミルクを注ぎ、ストローで混ぜて飲む――という、フラッペのつくり方を、独特の歌詞とリズムの「ファミマのフラッペつくり方ダンス」で印象づけられるようにした。

フラッペのつくり方
独特の歌詞とリズムでフラッペのつくり方を印象づける


 平行して、若い世代に向けたキャンペーンも実施する。このオリジナルダンスを踊り、その動画をSNS「Twitter」または「Instagram」に投稿すると、抽選で10人にオリジナルのポスターがあたるという内容だ。

 応募に当たって、澤田社長を含むファミリーマート社員のほか、任意の加盟店や取引先の従業員がダンスを踊る60秒の動画をWEB上で公開し多くの人の参加を促す。応募期間は4月22日から6月30日までで、フラッペの売上が年間で最も高まる夏季までに認知度を高めるねらいだ。

 そのほか年間を通じた施策として、20年2月期は定番商品である「カフェ」「チョコレート」「ストロベリー」を大幅刷新するとともに生産数を増やし通年で販売できるようにする。さらに毎月新しいフレーバーを投入して顧客を飽きさせない工夫をする計画だ。これらの施策によりファミリーマートは20年2月期、フラッペ全体で対前期比5%増の4000万食の販売を目標に掲げている。

 マーケティング強化により生まれた「お母さん食堂」の成功を、ほかのカテゴリーにも波及させることができるか注目だ。

20年2月期はフラッペ4000万食の販売を目標に掲げる
20年2月期はフラッペ全体で対前期比5%増の4000万食の販売を目標に掲げる。写真右が商品・物流・品質管理本部ファストフーズ部長の木内氏
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記事執筆者

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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