坪月商87万円を売る超繁盛ベーカリーが「食事パン」を売らない理由とは

2022/06/27 05:55
    佐藤 良子
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    2017年、兵庫県神戸市に開業した「パネホマレッタ」。元料理人のオーナーシェフが作る個性的なパンが評判となり、2021年には繁華街の駅近に、2号店「ピッコロホマレッタ」を展開。2店舗を併せても店舗面積16坪、売場面積はわずか5.5坪だが、合計で月商1400万円を叩き出す怪物店だ。その背景には、商品の味や個性はもちろん、リーン(油脂分が少ないパン)な食事パンの提供をやめ、惣菜パンと菓子パンに特化したこと、さらに2号店の出店で廃棄ロスを抑えたことなど、ビジネス的戦略が潜んでいる。

     

    国産小麦、天然酵母、個性派がキーワード。

    本店のパネマホマレッタ。平日は周辺官公庁で働く公務員やサラリーマン、休日は遠方からの目的客や観光客を集客。1日約350名を集客する
    本店のパネマホマレッタ。平日は周辺官公庁で働く公務員やサラリーマン、休日は遠方からの目的客や観光客を集客。平日は1日約300名、週末約350名を集客する

     兵庫県神戸市JR元町駅を山手に約7分上がった閑静な場所に、2017年に開業した「パネホマレッタ」。オーナーシェフの西脇健介氏は、10代でフランス料理の道を志し、パン職人に転向。老舗ベーカリーなどで約11年経験を積み、独立開業を果たした。

     4.5坪の売場に並ぶパンは、隙間なくぎっしり積み上げられ、約100品もの種類に目移り必至。テンションが上がることは間違いない。

     パンの特徴は複数の国産小麦を使い分け、リンゴとブドウで作る天然酵母を配合する生地に、個性的な具材を掛け合わせている点だ。

     例えば「いか×おくら×ゆずのキッシュ」(350円)は短冊切りのイカ、茹でてスライスしバジルペーストで和えたオクラ、刻んだ柚子皮の砂糖煮を加え混ぜたアパレイユ(卵液)をパイ生地に流して焼いたもの。

     「鶏肉のコンフィ×きいちごフロマージュ バルサミコソース」(390円)は低温調理した鶏肉、ベシャメルソース、はちみつ入りバルサミコソースをハード系生地のパンに挟み、モッツァレラチーズをのせてフランボワーズを散らして焼いたもの。

     いずれも主素材×ソースやチーズ+野菜などを組み合わせた味の構成が、素材を重ねて複雑味を出すフランス料理のようで、元コックらしい。随所に柑橘の砂糖煮やフルーツを忍ばせ、甘塩っぱいアクセントをつけるのも特徴だ。

    右から「いか×おくら×ゆずのキッシュ」(350円)、「鶏肉のコンフィ×きいちごフロマージュ バルサミコソース」(390円)、クロワッサンにカスタード、チョコレート、ほうじ茶クリームを挟み、上面にダマンド生地とほうじ茶の茶葉をのせて焼いた「ダマンド ほうじ茶」(320円)
    右から「いか×おくら×ゆずのキッシュ」(350円)、「鶏肉のコンフィ×きいちごフロマージュ バルサミコソース」(390円)、クロワッサンにカスタード、チョコレート、ほうじ茶クリームを挟み、上面にダマンド生地とほうじ茶の茶葉をのせて焼いた「ダマンド ほうじ茶」(320円)

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