今回のテーマは「カレーパン」。カレーはラーメンの消費量を超え、いまや日本食を代表するメニューといっても過言ではない。そのカレーの進化形といえる「カレーパン」が昨今ブームとなっている。
その背景にはカレーそのものの人気や、魅力的な商品、話題の店が登場したことなどがあるが、新型コロナウイルス感染拡大による人々のライフスタイルの変化により起こった食生活の変化も大きな影響をもたらしていると考える。リモートワークなどで日常の活動量が減ったことにより、3食のうちの1食を、おやつ以上食事未満の「0.7食程度」にする人が増えている。このカレーパンはまさに「0.7食」にぴったりのメニューと言える。カレーライスだとしっかり1食だが、カレーパンなら手軽に食べられる。
コンビニエンスストアの小さいサイズのお弁当の展開も話題になっている。ホットペッパーグルメ外食総研が提唱するこの「0.7食」は、流通業にとって今後さらに注目のマーケットであると考える。今回は、この0.7食開発のヒントをカレーパンのトレンドから探ってみたい。※新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、営業日時を変更している場合があります。詳細は、各店舗のホームページや公式SNSでご確認ください。
①カレー専門店発の
本格派を味わう「天馬」
同店は、今では全国に 20 店舗ほど展開するカレーパンの人気店だ。イートインでカレーライスを、テイクアウトでカレーパンが食べられるという、まさに「カレー屋さんのカレーパン」を体現しているお店である。カレー専門店だけあってそのカレーパンの特徴はなんといっても中のルーが本格的なこと。「ビーフカレーパン」「半熟卵カレーパン」など常時 4 種類程度のカレーパンが並んでおり、パッケージもシンプルなだけにより本格的なカレーであることが伝わってくる
店舗名 「天馬 自由が丘店」
所在地 東京都目黒区自由が丘1-7-15 丸栄ビル1階
営業時間 11:00~22:00
定休日 無休
②栄養バランスも良し
完成度の高さに注目!
「BOULANGERIE ianak!」
こちらは、東京・西日暮里に2006年にオープンした、地元で愛されるパン屋さんだ。たくさんのパンが販売されているが、なかでも「お豆と蓮根のカレーパン」はオープン当初から看板となっている人気の逸品だ。ごろごろとたっぷり入った豆と蓮根のシャキシャキ感にほどよくスパイシーなカレーが絡んで、ブランジェリーならではの完成度の高いカレーパンに仕上がっている。これ1つで栄養バランスのとれた軽い食事になり、まさに「0.7食」にぴったりの逸品だ。軽食と侮ることのできないこの完成度の高さが人気の秘訣ではないだろうか。
店舗名 「BOULANGERIE ianak!」
所在地 東京都荒川区西日暮里4-22-11
営業時間 8:30~19:00
定休日 不定休
③ホリエモン発案!
唯一無二のザクザク食感
「ベーカリー 小麦の奴隷」
こちらは、北海道・大樹町に 1 号店をオープンし、今や 30 店舗以上を展開する、ホリエモンこと堀江貴文氏発案のカレーパン専門店だ。中身は北海道発祥なだけあり、じゃがいもなど具材がごろごろとたっぷり入っている。外側のパンは唯一無二のざくざく食感で、しっかりとした食べごたえがある。2020年、21年と2年連続で「カレーパングランプリ」金賞を受賞しているのも納得の味だ。
定番の「ざっくざくカレーパン」だけでもかなりのインパクトがあるのだが、店舗ごとに限定の商品があることも人気に火をつけている。「時限爆弾レッドボム」という名の激辛カレーパンを販売したり、焼きそばを挟んだ焼きそばパンならぬ「焼きそばカレーパン」を展開したりと、アレンジの効いた個性的な商品が、消費者を飽きさせない。さすが堀江氏のベンチャースピリットが注入された店舗である。基盤となるおいしさあってのさまざまなアレンジ力は、まさに商品開発の参考にしたいところだ。
店舗名: 「ベーカリー 小麦の奴隷 大樹本店」
所在地:北海道広尾郡大樹町西本通 26
営業時間:9:00~17:00
定休日:月・火曜(祝日は営業)
「ホットペッパーグルメ外食総研」上席研究員
有木 真理(ありき・まり)
リクルートライフスタイル沖縄の代表を務めると共に、ホットペッパーグルメ外食総研の上席研究員として、食のトレンドや食文化の発信により、外食文化の醸成や更なる外食機会の創出を目指す。自身の年間外食回数300日以上。ジャンルは立ち飲み~高級店まで多岐にわたる。趣味はトライアスロン。胃腸の強さがうりで1日5食くらいは平気で食べることができる。「ホットペッパーグルメ外 食総研」https://www.hotpepper.jp/ggs/