この1〜2年でスーパーのベーカリー部門が町のパン屋を越え、一気に進化した理由とは
筆者自身、そこそこのパン好きだ。ほかの家族の朝食はご飯だが筆者だけがパン食だ。だからスーパーマーケット(SM)においしそうなベーカリーがあるだけでテンションが上がってしまう。そんな筆者が実際にSMで働くなかで見たベーカリー部門は、イメージとは異なり厳しい環境にあった。しかしながらこの1~2年で大きく進化し、一部門としての存在価値を築きつつある。それはなぜか、そしてその進化と未来とは──。
ベーカリー部門特有の厳しさ
本稿では、「なぜベーカリー部門は厳しかったのか」「厳しさを乗り越えたベーカリー部門」「さらなる進化に向けて」の3点について述べていく。

SMの各部門は最初から今のかたちができていたわけではない。八百屋が進化してSMの青果売場へ、魚屋が鮮魚売場になったのだ。ただ、それらは半世紀以上前からの諸先輩方の努力により築き上げられたものだ。現在SMで働く人が生まれた頃には、すでに今のかたちに近いSMはあったし、入社すれば当たり前のように「〇〇部門」に配属され、その歴史を考えることは少ない。一方、ベーカリー部門はSMに導入されてからは日が浅く、「売場内にある町のパン屋さんからベーカリー部門への発展途上」ととらえることもできる。
そもそもパンは出来上がるまでに時間がかかる。朝から昼に向けてのピークに出来立て商品を提供するには、早朝から多くの仕込み作業をしなければならない。専用のパン焼き機も必要である。さらに部門専用レジを持つのが一般的だったため、人員や坪数確保が必要となり、販売管理費が高い。そして消費期限が短いためロスにもつながりやすい。さらに売上のピーク時間が早く、夕方から夜は弱い。町のパン屋であれば夕方に売り切り早めに店を閉め、未明からの仕込みに備えられるが、SMでピーク時間帯に売り切っては物足りなさもある。
他部門と横並びで数値比較されるSMでは、当然ベーカリーは売上が低く販管費の高い「低効率部門」となる。本部もその重要性はわかっていても、とくに数値悪化時は効率の悪い部門としてメスを入れがちだ。そこを我慢してベーカリー部門を育成・構築できるかは、
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