消費者の変化と原価高騰に対応し、2022年の食品スーパーはこう動く! 食品MD総まとめ!

松尾 友幸 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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原価高騰への対応が急務

 これまで見てきたように、消費者のニーズの変化に対応した商品を強化したり、他社との差別化につながる商品の開発に注力したりすることで、売上面では一定の成果を出している企業も少なくない。

 その一方で利益確保もSM各社にとって重要な課題である。しかし、コロナ禍では消費者の生活防衛意識が高まり節約志向が強まってるほか、最近では世界的に食品の原価や輸送費が高騰しているという厳しい状況だ。利益貢献度の高いPBも置かれた環境は同じで、以前のように高い粗利益率を確保することが難しくなりつつある。本特集で実施した食品小売業のバイヤーを対象とするアンケートによると、回答者の8割以上が自分の担当部門の仕入れ価格が上がったと回答。「業務スーパー」を展開する神戸物産(兵庫県)の沼田博和社長も、21年10月期の決算会見の場で「経験したことがないほどの原材料の高騰が起こっている」と危機感を露わにするなど、原価高騰は業界の深刻な問題となっている。

 こうした状況下、食品小売業は量目や商品内容、包材の見直しや仕入れ先の変更、生鮮素材を活用した総菜をはじめとする付加価値型商品の強化などさまざまなアプローチを駆使しなければならない。SMを中心に業務改善のコンサルティングに携わる新谷千里氏は、収益性改善のためには部門やカテゴリー単位ではなく、単品での売上・利益管理が重要だと指摘する。どの商品に値下げや廃棄ロスが多いのかを詳細に分析し、生産性向上につなげることが必要不可欠だ。

 一例として、フジ(愛媛県/山口普社長)はプロセスセンター(PC)の活用による収益性向上に取り組んでいる。鮮魚部門では、生食商品や塩干物のパック詰めなどをPCで一括して行うことで効率化を進める一方、店内では付加価値の高い寿司など、差別化や利益につながる部分に人時を集中させることで、20年度には黒字化に成功した。

 本特集で取り上げている9社はいずれも、消費者のニーズの変化や原材料の価格高騰などに素早く対応し、新たな商品開発や売場づくりに取り組んでいる。22年のMDの方向性を決めるうえで、各社の戦略をぜひ参考にしてほしい。

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記事執筆者

松尾 友幸 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

1992年1月、福岡県久留米市生まれ。翻訳会社勤務を経て、2019年4月、株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。流通・小売の専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属。主に食品スーパーや総合スーパー、ディスカウントストアなど食品小売業の記者・編集者として記事の執筆・編集に携わる。趣味は旅行で、コロナ前は国内外問わずさまざまな場所を訪れている。学生時代はイタリア・トリノに約1年間留学していた。最近は体重の増加が気になっているが、運動する気にはなかなかなれない。

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