重要なのは普段のサービスレベル!「お客さまの声」から浮かびあがる「また行きたくなる店」とは

2022/09/16 05:54
    森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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    優しく長男を諭してくれた店員

     今度は、店員が何か対応、もしくは積極的にアクションした事例に注目してみたい。

     和歌山県在住の40代女性の「親しみのある対応」への声。「急にお酒が好きな知り合いが訪ねてくる事になり、スーパーで、種類や味もわからず困っていました。店員さんに訪ねると『お酒の好きな人いてるから呼んで来る』と言って、結局2、3人の店員さんであれかな?これかな?と一緒に選んでくれ、本当に助かり、嬉しかったです」。

     2、3人が出てきて対応するのは、チェーンストアとしては効率が決してよいとは言えない。だが売場で、ああでもない、こうでもないと店員とお客が話し合いながら、商品を手にする光景は筆者個人的には好きである。この女性は、次もこの店を利用するはずだ。

     次は大阪府在住40代女性の声。「私が妊娠中、スーパーで長男が抱っこをせがんで来ました。妊娠9カ月に入ろうとするお腹も大きな時期で、手には荷物もあり困り果てていたところ、見かねたスーパーの店員さんが優しく長男を諭してくれました。少しの事でも空気が変わり、長男もすっかり大人しくなりとても店員さんに感謝した経験があります」。

     この店員も小さな子供がいる親なのかも知れない。小さな男の子を相手に、しゃがんで話しかける姿が目に浮かぶ。お腹の大きな時期に、このお母さんはどれほど助かっただろうか。

    XiXinXing/iStock

     北海道在住の50代女性の声も目にとまった。「私より年齢が上のレジの方が優しく声をかけてくださるのがとても嬉しいです。あら、これ安いね、とか美味しそうだね、私も買って帰ろう、とか。何かほっこりした気分になっていつも帰ります」。

     50代の人が「私より年齢が上の」とあるため、60代以上のチェッカーと思われる。そんなベテラン店員から「私も買って帰ろう」と言われると、私なら急に得した気持ちになる。ちょっとした言葉にお客が癒されている様子が伝わってくる。

     どれもよい話で、アンケートに答えた人は利用した店のファンになるだろうと想像できる。一方、お客が心を動かされるこうした何気ないやりとりに注目すれば、食品スーパーの従事者も仕事に対する気持ちに新たな張りが出てくるはずだ。

    記事執筆者

    森本 守人 / サテライトスコープ代表

     京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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