アリババ、テンセントが事業縮小、中国流通市場で次に伸びるのはここだ

ライター:牧野武文
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流通相関図大

中国、アジア諸国の小売市場において圧倒的優位にあったアリババ(Alibaba)やテンセント(Tencent)といった大手EC企業が、受難の時代を迎えている。一方で成長著しいのが、バイトダンス(ByteDance)など動画系ECサービスだ。今後の勢力図はこの動画系ECを軸に大きく変化していく可能性がある。

 中国の小売市場は、個人消費の指標となる社会消費品小売総額が2021年夏頃から低迷するなど、冬の時代に入っている。中国は高度成長から安定成長に“軟着陸”させるべき時期にコロナ禍に襲われたため、その傷は浅くない。

 さらに、政府は安定成長時代への対応として市場を健全化させる政策を実施し、法整備の追いついていない領域──社区団購(地域密着の共同購入型EC)、ネット保険、デリバリー、オンライン教育、ゲームなどの分野で独占禁止法を中心にした規制強化を行った。これにより、アリババ(Alibaba)やテンセント(Tencent)といった大手企業が罰金を課せられただけでなく、事業の縮小、整理を余儀なくされている。

アリババのロゴ
中国、アジア諸国の小売市場において圧倒的優位にあったアリババ(Alibaba)やテンセント(Tencent)といった大手EC企業が、受難の時代を迎えている。写真はアリババのロゴ。北京で8月撮影(2021年 ロイター/Tingshu Wang)

 そうしたなかで今後1年は、中国を代表するEC・小売企業でも人員整理が進む予想だ。「社員の1人たりともリストラしない」と宣言をしていたEC大手の京東(JD.com)ですら、“卒業”という言葉を使って大規模リストラを始めている。美団(Meituan)、拼多多(Pinduoduo)、小紅書(RED)など成長基調にあった新興EC勢力も軒並み縮小モードだ。

動画系EC勢の勇躍

 アリババとテンセントは、自社でビジネスを興すだけでなく、外部への積極的な投資活動によってそれぞれの経済圏を構築してきた。しかし前述の状況下でそうした戦略の見直しが始まり、出資企業売却の観測が飛び交うようになっている。以前のような買収・出資による野放図な拡大は終わり、本業とのシナジー効果を考えた出資戦略をとらざるを得なくなっているのだ。

 アリババ、テンセントの中国内での影響力は

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