業績好調の食品スーパー市場でこの先、異業種含めた再編が活発化するワケ
スーパーマーケット(SM)の業界再編が進んでいる。地域ドミナントを形成しつつ、「商品力強化」と「機能強化」に継続投資するのがSMの勝ち筋であり、その実現手段としてM&A(合併・買収)は有効なアプローチといえる。この先、コロナ恩恵の剥落などの業績下押しに加え、株式市場からのプレッシャーも強まるなか、SM業界のM&Aは同業のみならず周辺分野をも巻き込んで一段と活発化する見通しだ。
成熟下で再編機運高まるSM業界
SM業界のM&Aはここ数年増加傾向にある(図表❶)。とくに2021年は、8月にエイチ・ツー・オー リテイリング(大阪府/荒木直也社長)と関西フードマーケット※(兵庫県/林克弘社長)、9月にフジ(愛媛県/山口普社長)とマックスバリュ西日本(広島県/平尾健一社長)など、上場企業同士の大型M&Aが報じられたことも再編機運の高まりを印象づけた。

背景には市場の成熟がある。日本が人口減少に転じた11年以降、SM市場は13兆円前後で頭打ちの一方、総店舗数はその後も増加し続けた。その結果、業界の売場効率は低下し、既存店売上高も前年並みがせいぜいの構図が定着した。いわゆるオーバーストア状態である。出店適地が限られるなか、SM各社には、「自社出店よりも他チェーンを買収したほうが合理的」との考えが浸透していった。
SM業界におけるM&Aのメリットは、たとえば買い手企業にとっては販売チャネルの拡大、売り手企業側には、創業者利益の確保や商品調達力の強化などがいわれている。なかでも、買い手・売り手双方にメリットが期待できるのは「地域シェアの向上」と「資金力確保」の2つ。これらは、SMの事業特性や昨今のSMを取り巻く環境変化の観点でも理に適っている。
※当時の社名は関西スーパーマーケット。現在の新・関西スーパーマーケット(兵庫県/福谷耕治社長)は関西フードマーケットの子会社として新たに設立。
地域シェア向上で、仕入れを有利に
第1に、SMは地域シェアが重要な競争力のポイントとなる。一般にSM業界は
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