ファブリーズが「必需品になっていない人」にこそP&Gが商機を見出す理由
──置き型タイプのトイレ用消臭剤も好調に推移していますね。
山本:ありがとうございます。「ファブリーズトイレ用消臭剤」シリーズは、発売以来、継続的に成長を続けています。特に23年2月のリニューアルでは効果の持続期間を約6週間から8週間へ(※1)変更。このポイントを訴求したところ、「8週間持続」というキーワードが消費者に響き新規ユーザーの獲得につながったことを受け、先秋には「本体+詰め替え2個パック入り」も発売し、買い忘れの予防にもつなげています。
マーケティング施策については、こちらでも「習慣化」と「自分ごと化」を軸としたコミュニケーションを展開します。実は「ファブリーズトイレ用消臭剤」は、置いておくだけではなく軽く振ることで瞬間的に消臭できるという優れた便益を持っています(※2)。
この便益をコミュニケーションすることで、前に入った人のニオイが気になるなど、日常生活に潜むトイレのニオイ問題に対して解決策を提案し、「自分ごと化」を進めます。「習慣化」については詰め替え用の製品を3月より展開することで、定期的な購入と交換の定着を狙っていきます。また、本体の買い替えが不要になり、サステイナビリティの観点でも優れた製品になっています。
詰め替え用については流通各社のバイヤー様からの評価が高く、世帯浸透率の向上を目指して、今後も注力していきたいと考えています。
──車用の「ファブリーズ」シリーズについてはいかがでしょうか。
山本:2012年に発売した車用消臭芳香剤「ファブリーズイージークリップ」は、車内の消臭・芳香効果に加え、防カビ効果が備わったシリーズや抗菌効果が備わったシリーズ、香りにこだわったシリーズなど様々なラインアップを展開しています。
昨年4月には、12年ぶりに大幅改良を行い、新調節ダイヤルを搭載することで、好みに合わせて弱・中・強の3段階で香りや消臭力の調節が可能になったほか、消臭成分のアップグレードにより、効果の持続期間を+2週間(※3)に延長することに成功。これにより、リピーターに好意的に受け入れられています。
一方で、新規ユーザーの獲得においては課題があるカテゴリーでもあります。そのため、車用消臭芳香剤を普及するために解決すべき課題は大きく2つあると考えています。第1が「車のような狭い空間内で起こるニオイの問題は芳香剤では解決できない」と考えている方が一定数いるという点、第2に「好きな香りがない」という点です。
これらのお悩みを解決するために、「ファブリーズイージークリップ」によって、カビからくるイヤなくささを含めたエアコンから出てくるニオイをしっかりと消臭できる点をコミュニケーションで訴求しています。また、好きな香りが無いというお悩みに対しても、話題の香りである「ホワイトムスクの香り」を発売。機能と香りに対する未充足ニーズに対応することで、トライアルを促進し、世帯浸透率の向上を図りたいと考えています。