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ヴィンクス 先進テクノロジー・AI活用ソリューションで流通小売業の変革を支援

リテールテックJAPAN

2022年末のChatGPT登場以来、生成AIサービスが次々に提供され、金融やサービス、製造業など様々な業種で活用が始まっている。流通業でも商圏分析や需要予測、CRMにおいてより精度の高いAIサービスの導入が加速している。2025年3月4日から7日に東京ビッグサイトで開催されたリテールテックJAPANでも、流通業におけるAI活用を前面に打ち出した展示が目立った。ヴィンクスも既存のデジタルソリューションに加えて生成AIサービスや未来型店舗、ECサービス支援など先進的な流通ソリューションをアピールした。生成AI関連、バックオフィス関連ソリューションのほか、主力製品であるPOS・MD基幹やCRM、EC・WEB関連のソリューション、海外・情報システムサポートを5つのゾーンに分けて展示を行った。

生成AIサービスで店舗業務の生産性向上を図る

 リテールテックJAPANに合わせて、ヴィンクスは日本マイクロソフトとの連携を発表した。日本の流通市場は、円安などを背景とした物価上昇による個人消費の伸び悩み、労働生産人口の減少や将来的な人口減、人件費高騰や人手不足など大きな社会的課題の解決が求められている。そうした流通分野の課題解決に向けて、既存のデジタルソリューションだけでなくAIの活用を訴求している。

 今回の日本マイクロソフトとの連携推進は、ヴィンクスが持つ独自の流通向けソリューションとともに富士ソフトグループで培ったノウハウを活用し、マイクロソフトの生成AIエージェントを用いて消費者へのサービス向上や流通業の本部・店舗業務の生産性向上を図るサービスとなる。

 基本的に店舗や本部で必要なデータは、ヴィンクスの独自ソリューションであるPOS「ANY-CUBE」やMD基幹システム「MDware」、CRM基盤の「HybridSatisfa」が担う。それらのデータをマイクロソフトの生成AI「Copilot」を活用し売上や棚割、顧客、商品などの各種情報管理をカバーするソリューションエージェント、売上や顧客の分析、売価設定最適化をはじめ販促など店舗業務支援のためのデータを提供する本部・店舗向けエージェント、店舗案内やレシピ案内、ヘルプデスクなどを提供する顧客向けエージェントで各セクターの課題を解決するサービスを提供する。これらの構想に基づき、ヴィンクスや富士ソフトのソリューション連携を日本マイクロソフトと共に順次進めていくとしている。

 こうしたヴィンクスと日本マイクロソフトとの連携した取り組みは、流通小売業界から大きな期待が寄せられている。「小売業には業務の効率化や生産性の向上がこれまで以上に求められている。ヴィンクスのAI技術を活用した取り組みに期待したい」(ウエルシア薬局)、「小売業界におけるAI技術の活用は、顧客体験の向上や業務効率化の面で大きな可能性を秘めている。データ分析や自動化技術を活用することで、新たな価値創造が加速する」(エムアンドシーシステム)、「ヴィンクスが推進するAI関連サービスは、小売業の変革を加速させる重要な取り組みであり、流通・小売業界に新たな可能性をもたらす」(トライアルホールディングス)、といった声があがっている。

日本マイクロソフトと連携し小売業の生産性向上を目指すサービスを展開していく

 このほかヴィンクスのブースでは、独自のAIを活用した「AIコンシェルジュ」も注目を集めていた。店舗内に設置されたサイネージなどの端末を使って、様々な情報を提供するシステムで、レシピアドバイザーに「旬の食材を使った料理は?」と問いかけたり、「大切な友人へのギフトを考えて」と聞けばギフトアドバイザーが提案してくれたり、また「おすすめのワインは?」と悩んでいるとワインアドバイザーが料理や予算にマッチしたワインを薦めてくれたりする。サービスカウンターで買物客への対応業務の効率化が可能だ。

AIを活用してサービスカウンターでのお客様への具体的な提案が可能になる

 さらにヴィンクスが展開する生成AIを使った業務改善ツールにおいて、企業内部の規約などを文書検索しなくても、文書データを保存しておくだけでAIが学習しチャットボット機能での提供や、文書作成機能を使えば議事録やレポート、画像を含めた資料を自動生成することが可能となっている。業務改善に加えて顧客に向けた情報提供ツールなど様々な使い方ができる“便利ツール”として訴求していた。

ヴィンクスが展開する生成AIサービスで業務効率化をサポートする

DXを推進する小売業のMD業務を84社7400店舗においてトータルで支援

 流通業の核となる様々なソリューションをヴィンクスは提供している。「MDware」は流通業向けMD基幹システムだ。①マスタ管理②販促管理③販売基準型発注④需要予測型発注⑤生鮮相場発注⑥インターネットEDI⑦仕入/買掛/売上⑧リベート管理⑨予算管理⑩在庫管理⑪営業実績⑫商品実績といった、流通業のMD業務を12種類のモジュールに分割したのが特徴。必要な機能を単体で導入することも段階的に拡張して導入していくことも可能だ。すでに84社7400店舗(導入予定含む)で導入されており、経営者やバイヤー、売場担当者の業務効率アップに役立てられている。

 さらに自動発注システムにはAI(機械学習)を活用した、AI需要予測機能(AI販売数予測サービス)も追加されている。過去2年分の販売実績や気象情報、販促情報などをベースに、AIが商品の特徴を学習して日々の販売数を予測する機能だ。販売数を予測する過程では、複数の小売店の協力を得て、ベテラン発注者の思考プロセスを再現した“小売特化型AI”を搭載している。

「MDware」の需要予測にもAIが活用され、ベテラン発注者の思考プロセスを再現

 また、今回のリテールテック2025では参考出展として、「Web商談」と「レシピ発注」も紹介していた。Web商談は商品マスタ登録と販促商品登録の効率化を狙った機能で、バイヤーと取引先がリアルタイムで情報共有し販促商品のマスタ登録などを行えることで、商品部でのマスタ登録の負荷軽減を図るとともに商品マスタの登録漏れや確認ミスの削減にも役立つ。

 レシピ発注は、スーパーなどでの店内加工品の原材料発注を支援する機能。「MDware需要予測型発注システム」と組み合わせて活用することで、製造計画数から原材料発注までを提供する。弁当や総菜の販売予測データから必要な原材料を計算し、発注数を確定して製造計画を実行できる。つまり店内製造業務について「MDware」での全体管理が可能になるわけだ。

バイヤーと取引先がリアルタイムで販促商品のマスタ登録ができる「Web商談」や店内加工品の原材料発注を支援する「レシピ発注管理」

POSハードにとらわれず統一した機能を実現

 次世代POSの「ANY-CUBE Neo」は、導入しやすさ、使いやすさという点が評価されてトータル販売台数約173000台、導入社数211社(252月)の導入実績がある。活用している業種を見てもドラッグストアで約7万台、スーパー/GMSで約21000台、専門店で約28400台、アパレルで約17900台、その他にも飲食などで約35400台が稼働している。

 最大の特徴は、業界標準であるOLE-POS仕様に準拠していることで、どのメーカーのハードウェアであってもPOSを構築できるという点。セミセルフ/フルセルフレジでもタブレットでも対応でき、さらにスマホもPOSとして利用できる。

 そしてより直感的な操作が可能な分かりやすいUIにより教育コストを削減、マニュアルレスも実現している。any-time(どんなハードウェアでも)、any-one(誰にでも)、any-where(どんな業種にも)をアピールポイントとしている。

 ハードウェアフリーであるため、従来はハードとソフトが一体化されているので更新時や店舗増設のたびにハードとソフトを毎回購入する必要があったが、「ANY-CUBE Neo」の場合、ソフトを1回購入するだけでハードの更新時のコストを削減できる。加えてセンターサーバー型のクラウドPOSの利点として、売上データのリアルタイム集計や本部から各店舗の各種マスタの一括管理もできる。

次世代POS「ANY-CUBE Neo」はどのメーカーのハードウェアでもPOSを構築できる

 近年スーパーマーケットではセルフレジの運用が拡大しており、お客様の操作を確認するアテンダントの従業員を固定の位置に配置している店舗も多い。固定の端末からタブレット端末に置き換えることで、お客様の動線上でサポートが可能になり、お客様のお困りごとの解決やコミュニケーションが円滑になり、顧客満足度やアテンダントのホスピタリティ向上にもつなげることができる。

タブレット端末を活用することで、セルフレジのアテンダントのホスピタリティが向上

 「SoftWareCAT」も併せて導入することで、クレジットカード、コード決済などマルチ決済にも対応可能だ。とくにインバウンドの拡大やキャッシュレスの浸透でPOSにも様々な決済手段への対応が求められている中で、POSへの投資を軽減しつつ機能向上を進めるためにはこうしたPOSとの親和性が高いサブシステムを活用することも検討すべきだろう。またCRMで根強い需要のあるポイントシステムも、「SoftWareCAT Point」により最小限のシステム改修で、ポイント計算・付与・利用やポイント事業者との通信が可能になり、様々な共通ポイントとの連携を実現できる。

流通業向けソリューションのノウハウを生かし次世代型CRM開発

 流通業のDXは人手不足対策や生産性向上、といった業務効率改善だけではない。顧客の買い物の利便性向上や新たな買物体験の創出という点でも、デジタルソリューションの活用が当たり前となっている。

 ヴィンクスの次世代型CRMシステム「Satisfa CRM(仮)」は、流通業向けソリューションの開発、提供で培ったノウハウを投入し、これまで実現が難しかった“商圏分析に基づく販促”や“顧客にあった品揃え”などを蓄積したノウハウと最新AI技術の融合で実現した。

 従来からの会員管理やポイント管理、販促管理に加えてAIによる分析から、“地域に在住の消費者像”や“店舗を利用している消費者像”の可視化を可能とした。AIカルテを活用して現状=自店舗のマーケットシェアを正確に把握する。そして売上/利益の向上のための施策をタイムリーに実行する。わかりやすいダッシュボードで施策の効果を確認。そこから自店舗の顧客像を可視化して品揃えや販促に反映するというPDCAサイクルを確実・高速に回していくことが可能になる。

 CRMシステムの基本機能として、多彩な販促機能を標準搭載することで新たな販促施策を短期間で実現するだけでなく、周辺サービスとのシームレスな連携や複数アカウント運用可能な統合会員管理基盤など顧客への最適なアプローチが可能な環境も提供できる。

 また、AIを活用したビッグデータの解析や生成AIによる自然言語対応での対話型サービスを活用した顧客体験の向上、プラットフォームに依存しないセキュリティレベルや処理性能、コストなどニーズに応じた最適なサービス環境を構築できるのも特徴のひとつだ。

 流通業の様々な課題を解決するためのソリューションをヴィンクスでは提供している。専門店向けのプロダクトでは、専門店に特化した基幹システムを準備しているほか、ECサイト構築パッケージ「EC-Eyes」では、小規模から大規模まで幅広いレンジで、ECサイト構築から運用までの機能を提供するなど流通業の様々な形態に対応可能なサービスを投入している。

近未来の店舗においてデジタルサイネージを活用して商品を選択できる

 近未来の店舗を想定して、ヴィンクスのブースでは大胆な提案も見られた。それは棚ではなくデジタルサイネージに商品を“陳列”し、買物客はそこをタッチすることで商品を選択。商品は店舗内で受け取ったり、あるいは配送を依頼したりというスタイル。ECライクな買物体験を提供することで、通常なら店舗内の限られた棚スペースに配架するより多くの商品を陳列でき、店舗スペースの有効活用が可能な新たな店舗スタイルとして注目される。

低コストで導入可能な運用監視ツールを提供

 流通DXを進める中で、様々なソリューションを効率的に運用する体制も必要になってくる。既存のミドルウェアなど大手ベンダーの製品は高額であり、またクラウド版であっても高コストになることは避けられない。そこでシステム監視ツールとして実績のあるZABBIXと独自のジョブ管理ツール「LoadStar Scheduler」を用いた基幹業務運用ツールをヴィンクスでは提案している。

 ヴィンクスの「LoadStar Scheduler」ならばサーバー課金なので高額なライセンス費用から解放される上に、既存のオンプレミス環境からクラウド環境への移行も容易だ。想定されるケースでは初回移行1万5000ジョブを初心者2人が1か月で移行完了。担当業務全8万ジョブを定常業務をこなしながら2年で5万ジョブの移行が可能としており、コストダウンの効果として初期導入で最大80%、年間費用で最大65%削減が可能という。監視ツールとしてZABBIXを前提に開発されているが、他の監視ツールとの連携も可能で自社で使いやすい監視ツールを用いることもできる。すでに大手ベンダー製の運用ツールからの移行が増大しているという。

デジタル活用のベースとなる情報システム部門の業務効率化にも対応する

 ヴィンクスグループの4Uアプリケーションズは、POSクラウドサービスの開発・運営・提供を行う企業。POSのスペシャリストとして規模の大小を問わず様々な業種にPOSを提供している。これまでプラグイン構造のデバイスフリーのPOSを三越伊勢丹ホールディングスに提供するなど、すでに13万台以上のPOSが稼働している。

 このほかにもリテールテックJAPAN2025のヴィンクスブースでは、台湾のターンクラウド社のiPhone利用のタッチ決済システムを展示。iPhoneがあれば、簡単・スピーディにタッチ決済を始められる点をアピールしていた。

iPhoneを活用したタッチ決済システムや小売業の海外進出支援も実施している

 流通小売業が国内の労働生産人口の減少による人手不足や人件費の高騰などの課題に直面する中、2025年は従業員の生産性向上や業務効率化に向けた取り組みでAIを活用したDXがますます加速していくだろう。流通小売業のDX推進を支援し、これまで数多くの実績を持つヴィンクスが、今回、世界の大手AIベンダーであるマイクロソフトとの連携、生成AIの技術力に強みを持つ富士ソフトとの協力もと、グループ全体の技術やノウハウを結集、推進する流通小売業向けソリューションの今後の展開に注目したい。

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