ピーナッツバターから
スタートしたソントンの歴史
ソントンの歴史は、ピーナッツバターの製造から始まる。大正後期、アメリカのキリスト教宣教師J・B・ソーントン師が当時の日本人の貧しい栄養状態を改善するため栄養価の高いピーナットバター(当時の表記)を製造・販売し、教会の維持費に充てていた。
創業者の石川郁二郎氏はこの事業に共感、ピーナットバターの製造技術とソーントン師の名を使用する許可を得て、1942年にピーナットバターの製造を開始。1948年に同社の前身となる会社を設立した。
ソントン発展の礎となったのがピーナッツクリームの存在だ。
1950年頃、同社では子供でも食べやすいようピーナッツバターに糖蜜を加えた加糖ピーナッツバターを紙容器に入れて販売していたが、さらに食べやすさを考慮し、舌ざわりがなめらかでピーナッツの香ばしい香りが口に広がるピーナッツクリームを開発。
1960年、ソントンの基幹ブランドとなる「ファミリーカップ」の製造が開始された。
堅調に推移する
ジャム・スプレッド類
ジャムやスプレッドはコロナ禍以降、自宅で過ごす時間が増えたことも影響し、堅調に推移するカテゴリーのひとつだ。とくにスプレッド系はピーナッツやチョコレート以外の新しいフレーバーが増えたこともあり、需要も拡大している。
ソントンのウェブサイトでは、「ファミリーカップ」をはじめとするソントン製品を使ったオリジナルのレシピを多数紹介。料理のソースやお菓子づくりなどパンに塗る以外の使い方も提案している。
5層構造で作り立ての風味をキープ
ソントン独自の紙カップ容器
ジャムやスプレッドのターゲットの1つが、子供のいる30~40代の主婦層であり、「ファミリーカップ」も多くの主婦層に支持されている。
「ファミリーカップ」の紙容器は長期保存しやすいよう5層構造になっており、作りたての風味をキープできるよう工夫されている。しかし紙カップ容器の商品は瓶容器の商品よりも品質が下に見られがちであるという課題を長年抱えていた。
そこでソントンは、今までの紙カップ商品スペックから脱却した商品開発に挑戦。紙カップ容器の可能性をあらためて再認識し、独自の製造ラインと組み合わせて、よりお客さまに満足していただくために中身の品質やデザイン、ラインアップを一新。2024年3月1日に新発売した。
クリームは冷蔵庫に入れても塗りやすく
ジャムは果実感UP 、甘さすっきり
新しくなった「ファミリーカップ」は、全8種のフレーバーをラインアップ(ページ冒頭の商品画像を参照)。商品名に商品特長を示す単語を入れることで、食べる前から風味・品質のイメージがしやすい工夫を行った。
今回の新商品ヒットランキング「スプレッド部門1位※」を受賞したのが「とろけるカスタードクリーム」だ。素材の卵のコクがとろける風味を醸し出し、加えてバニラビーンズで香り豊かなカスタードクリームに仕上がっている。
従来のクリームに見られた冷蔵庫で保管することで塗りにくくなった現象が、今回の商品では硬くなりにくくなっており、塗りやすいのが特長。休売中も販売再開の声をたくさんいただいた一品なので、満を持しての発売となった。
また同時に「カップジャム部門1位※」を受賞したのが「しゃきしゃきリンゴジャム」。しゃきしゃきとしたリンゴの食感を感じながら、果実感がアップしているのが大きな特長だ。
「低糖度45度」としたことで、甘さの後味もすっきりしている。トーストに塗って食べることはもちろん、ヨーグルトと合わせる定番メニューもさらに楽しめる。シナモンの風味もしっかり利いた、新しいリンゴジャムとなっている。
さらにパッケージデザインについても大規模な刷新を行った。およそ30年ぶりとなるデザイン変更では、「ファミリーカップ」シリーズの発売初期からパッケージに載せていたソントンのマスコットキャラクター「トンちゃん」を大きく配置。
昨今のレトロブームを意識し、ベージュを基調にジャムやクリームの素材のカラーリングをアクセントに入れ、「トンちゃん」のイラストをアイコンとすることで親しみのあるパッケージへと仕上げた。
大規模サンプリングや
試食販売でトライアル促進
今回の大規模刷新について、消費者からは「休売していたカスタードクリームが復活してくれてうれしい」「リンゴジャムのしゃきしゃき感がおいしい」「料理にも使えて便利」「クリームが塗りやすい」「甘さがすっきりして食べやすくなった」などの声が上がっている。
プロモーションについては発売のタイミングに合わせ2月1日からYouTubeにて、Web CMを公開。人気声優の野島健児さん、藤井ゆきよさん、服部想之介さんを起用し、コミカルな会話で「ファミリーカップ」の魅力を伝えている。
また保育園などの主要ターゲットに向けて大規模サンプリングを実施。料理SNS「スナップディッシュ」やInstagramでもレシピ投稿キャンペーンを展開し、ブランドの認知拡大に努めている。
さらに店頭施策として、試食販売を積極的に展開。ブランドや商品紹介のほか、軽くて持ちやすい、割れないので子供でも安心、捨てやすいなど紙カップ容器ならではの利点を伝えるPOPなども用意している。
ソントンでは「ファミリーカップ」シリーズを通じて、今後もジャム・スプレッドカテゴリーの市場拡大に貢献していきたいとしている。
注釈:
※出所:「ダイヤモンド・チェーンストア」2024年12月1日号 データ提供:KSP-POS(食品SM)24年1月から6月までに発売された新商品を対象に「スプレッド」「カップジャム」カテゴリーにおいて期間全般P(I 24年1月~8月)でランキングを抽出。販売店率20%以上の商品が対象