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植物性ミルクを愛飲する人に知ってほしいマルコメの新作「米糀ミルク」の正体

プラス糀 米糀ミルク
マルコメの発酵技術が生んだ植物性ミルクの新ジャンル「プラス糀 米糀ミルク」。甘味を抑えたくせのない味わいと豊富な栄養素が魅力で、コーヒーにいれたりシリアルにかけたりなど、牛乳と同じように使用できる

マルコメから今春発売された「プラス糀 米糀ミルク」が話題だ。同品は独自の技術により甘さを抑えることで飲みやすさを実現した、国産米由来の植物性ミルク。植物性ミルク×発酵というこれまでにない切り口で、植物性ミルクのカテゴリーに新風を吹き込んでいる。

健康志向を背景に市場広がる植物性ミルク

 植物性ミルクの世界市場は、2022年に2.9兆円に達し、2023年から2030年の予測期間中にCAGR9.5%で成長、2030年には6兆円(※)に達するとの予測もある。

 日本でも健康志向に加えヴィーガンの増加やSDGsの観点から、プラントベースフードへの関心が年々高まっている。なかでも植物性ミルクは牛乳の代替品として毎日の生活に取り入れやすく、手に取る消費者が増えている。

 植物性ミルクは健康や美容意識の高い女性向けというイメージの強いカテゴリーだが、カフェチェーンやレストランなどで、植物性ミルクを使用する飲食店が増えたこと、TVの情報番組や雑誌など多くのメディアで取り上げられたことなどもあり認知度も急激に拡大。

 従来からある豆乳に加え、アーモンドミルクやオーツミルクなど、さまざまな原材料による商品が発売されたことで市場が活性化している。

 この好調を受け、マルコメは味噌の原料となる大豆や米、米糀に関する知見を活かした新たな植物性ミルクの開発に着手。

 同社マーケティング本部でマーケティング部長を務める芹澤佑介氏は、商品開発のねらいについて、「既存の植物性ミルクの原材料である大豆やアーモンド、オーツ麦はそのほとんどを輸入に頼っている。

 そんな状況下、日本の食材である米や麹菌を使って当社の発酵技術を活用した、今までにない植物性ミルクをつくりたいという想いがあった」と語る。

マルコメ マーケティング本部マーケティング部長 芹澤佑介氏

 商品開発のヒントとなったのは同社が展開する「プラス糀 糀甘酒」の存在だ。同品は米や米糀のデンプンを糖化し自然な甘みを引き出しているが、植物性ミルクの開発ではより牛乳に近い味わいを引き出すため、敢えて甘みを抑える独自の発酵技術を用いた。

 長い時間と味の調整を重ね、2024年3月、植物性ミルクと発酵技術をかけ合わせた新ジャンルの飲料「プラス糀 米糀ミルク」を発売した。
※出典:株式会社グローバルインフォメーション

アレルゲンフリーで乳糖不耐の人も安心

 「プラス糀 米糀ミルク」は糀由来のたんぱく質「マイコプロテイン」と米由来のたんぱく質「プラントプロテイン」を含んだ発酵の技術から生まれた新ジャンルの植物性ミルクだ。

 糖化工程では既存の「プラス糀 糀甘酒」とは異なる製造工程により甘みを抑え、糖質を「プラス糀 糀甘酒」の約60%まで削減。乳製品と類似する製造工程を経て、なめらかで飲みやすい味を実現している。

 豊富な栄養素も魅力のひとつだ。植物性たんぱくをはじめ、抗酸化作用でも注目される米由来のビタミンEと糀由来のエルゴチオネインを含有。

 特定原材料等28品目を含まないアレルゲンフリーで、日本人の3人に2人いるといわれている乳糖不耐(乳製品を摂取するとおなかの調子が乱れること)の人でも安心して飲むことができる。

試飲した人たちからの高評価

 テストモニター向けのアンケート調査によると、「健康に良さそう」「新しい味である」「飲みやすい」が8割以上と非常に高い評価を得た【図表】。

 発売後の試飲プロモーションでも味への評価が高く、「植物性ミルクは健康に良いけれど味にくせがありそう」と、これまで植物性ミルクを敬遠していた消費者にとっても手に取りやすい商品となっている。

店頭販促用に専用什器やPOP、商品特長を記したリーフレットも準備している

 「プラス糀 米糀ミルク」はそのまま飲むだけでなく、コーヒーや紅茶に入れたり、シリアルにかけたり、料理に使ったりなど、牛乳と同じように使用することができる。

 コーヒージャーナリストの岩崎泰三氏は「プラス糀 米糀ミルク」について、「くせがなくコーヒーの風味を邪魔しない」と味わいを高く評価。マルコメでは家庭用での展開のほか、将来的にはカフェやレストランなどの業務用分野でも「プラス糀 米糀ミルク」の展開を検討している。

 同社は流通企業向けに専用什器やリーフレットを準備するほか、マネキンによる試飲販売なども強化し、「プラス糀米糀ミルク」の拡販に注力していきたいとしている。

実際の売場展開事例を見てみると?

ライフ ソコラ所沢店売場展開事例

「ライフ ソコラ所沢店」の植物性ミルクコーナーの売場展開(写真左、外観は右上)。写真右下は(株)ライフコーポレーション首都圏食品日配部 日配食品課 チーフバイヤー 室井啓佑氏 マルコメ(株)営業本部広域営業部 広域営業課専任課長 伊藤裕介氏

日々の健康につながる新たな植物性ミルクとして注目

 2024年4月25日開店の「ライフ ソコラ所沢店」は西武新宿線、西武池袋線の所沢駅から徒歩11分の地域密着型商業施設「SOCOLA所沢」の核店舗。

 店舗周辺は新規住宅の開発が進んでおり、シニア層のほか、30・40代のファミリー層も多い地域だ。平日はシニア層、土日は広域から幅広い年代の客層が来店する。

 「ライフ ソコラ所沢店」は売場面積が600坪を超える大型店であり、「オーガニック・ローカル・ヘルシー・サステナビリティ」をコンセプトとしたBIO-RALブランドの商品をはじめ、味にこだわったオリジナル商品や総菜など、幅広い品揃えも特長となっている。

 近年、ライフではプラントベースフードおよび植物性ミルクの取り扱いを強化しており、「ライフ ソコラ所沢店」でも植物性ミルクを集積しコーナー化している。

 同社・首都圏食品日配部日配食品課でチーフバイヤーを務める室井啓佑氏は、「プラス糀 米糀ミルク」の導入背景について、「植物性ミルクは豆乳をはじめ、アーモンド、オーツ麦などさまざまな商品が出てきており、牛乳からの移行も増えている。

 この状況下、マルコメさんから新ジャンルの植物性ミルクが出るということで新たな客層が取り込めるのではと期待し、定番採用を決めた。米という身近で親しみやすい食材由来である点や、くせのない味わいも魅力」と話す。

 同社では首都圏の約80店舗に「プラス糀 米糀ミルク」を導入。「ライフ ソコラ所沢店」では発売当初、果汁コーナーで展開していたが、現在は視認性を考え植物性ミルクの冷蔵ケースで展開している。

 室井バイヤーは今後の展開について「植物性ミルクは消費者の中で浸透してきており、今後も伸長が期待できるカテゴリー。7月には『プラス糀 糀甘酒』とともに、月間推奨商品としてしっかりと売り込みを図っていきたい」と意気込みを語っている。