いかに来店客を増やし、売上を伸ばしていくか─。スーパーマーケットなど商業施設にとって、これは重要課題といえるだろう。解決策のひとつとして、いま注目されているのが「カラオケ」だ。カラオケのリーディングカンパニー、第一興商(東京都品川区)のFC店舗や少人数向けカラオケを導入することで、来店を促進。シナジー効果によって売上拡大をめざす。そのメリットについてレポートする。
医学も実証する「歌う」効果
健康増進のためにカラオケを
そもそもカラオケは、1960年代に日本で発明された、老若男女が楽しめる身近なエンターテインメントだ。高度経済成長期とバブル景気を背景に急速に広がり、いまや「KARAOKE」として世界中で親しまれている。まさに現代日本を代表する文化といっても過言ではない。
カラオケの可能性にいち早く着目し、カラオケ機器の製造・販売を手がけたのが第一興商だ。1973年の設立以来、カラオケの魅力をより多くの人に伝えたいとの想いから、歌いやすさ、音響、臨場感ある映像などコンテンツの充実に努めてきた。
また、「カラオケ ビッグエコー」などのカラオケ・飲食店事業にも取り組み、現在では直営店舗約700店を展開。業務用カラオケ市場のリーディングカンパニーとして揺るぎない地位を確立している。
そんな第一興商は、「うたと音楽のチカラ」で心と身体の健康増進に取り組んでいる。ストレスの改善、免疫力の向上、嚥下機能の向上、認知症予防などが期待されるカラオケ歌唱は気軽に楽しく健康増進を図ることができる。
こうした点に着目した同社では、日本人の健康寿命を伸ばし、誰もがいつまでもいきいきと暮らせる社会をめざすために、もっとカラオケを普及させたいと考え、新たなビジネスにも果敢にチャレンジしている。
そのひとつが、スーパーマーケットとの協業だ。店舗にとっても長年の課題である「集客」「売上」「地域貢献」が見込める、双方にとってより良い取り組みなのだ。さらには、店舗が地域の集いの場となり、活性化され、高齢者の外出機会も増え、社会貢献にもつながる。
遊休スペースを活用して
カラオケのFC店舗を運営
では、具体的にどんな取り組みなのか。一言でいえば、スーパーマーケットなどの施設内にカラオケボックスを併設する、というものだ。例えば、テナントが撤退したフロアや喫煙所を撤去した空きスペースを利用して、第一興商が展開するフランチャイズ(FC)のカラオケボックス「カラオケCLUB DAM」を運営するのである。50~100坪の広いスペースがあれば、10~20ルームを設けることができる。
実はカラオケボックス事業は、「室料売上」と「飲食売上」の2本柱という希少な「ダブルインカム(収入)事業」だ。客層が若年層から高齢者まで幅広く、営業時間も長く設定できるため、安定した集客が見込める。
しかも、第一興商のFCに加盟すれば、同社が直営店舗「ビッグエコー」の運営で培ったノウハウを生かしたサポートが受けられる。開業前の商圏調査から料金の設定、店舗の設計・施工、スタッフ教育、近隣ケアなどきめ細やかだ。開業後も経験豊富なスーパーバイザーが訪問し、販促プロモーションや集客施策、店舗運営について継続的にフォローを行う。これだけの幅広い支援内容でありながら、月々のロイヤリティは1ルームあたり6,000円(税抜)とリーズナブルな点も大きな魅力だ。
さらに、スーパーマーケットの場合、来店客が惣菜や弁当、飲み物などを購入して、カラオケルームに持ち込むというプランも可能だ。スーパーマーケットの売上に貢献するだけでなく、フードやドリンクを提供しないセルフサービス方式のカラオケボックスになるため、厨房機器などの初期投資を抑えることができる。
実際、第一興商では持ち込み自由のコンビニエンスストアとカラオケの一体型店舗を2014年に東京都大田区や千葉県松戸市に出店し、好評を博している。この成功をベースに、同社ではスーパーマーケットなどの商業施設ともタッグを組んで一体型店舗の拡大をめざす。その上で、カラオケの健康価値を伝えていくとともに、商業施設への来店促進と売上拡大にも貢献していく考えだ。
1曲単位で気軽に歌える
省スペース型カラオケ
商業施設内の遊休スペースを活用したカラオケのFC店舗の運営は、来店促進や売上拡大につながるだけでなく、地域の話題づくりや老若男女の憩いの場づくり、従業員の福利厚生などメリットは多岐にわたる。
だが、FC店舗を運営するだけの十分なスペースがないところも少なくない。そこで第一興商では、幅と奥行きが150c m、高さが240cm*の省スペース型カラオケを開発。その名も「COCOKARA(ココカラ)」だ。「ここでカラオケが歌える!」「ここから何かが始まる!」といった期待感を込めて名付けられた。
少人数で入室できるブースにはヘッドホンがセットされ、マイクを通して歌うと、自分自身の歌声と曲のBGMがヘッドホンから流れる仕組みで、デュエットなどもできる。消防法に則り、天井部は開放され、防犯の観点からブース内はガラス張りになっているものの、ヘッドホンを装着すれば歌うことに集中できる環境だ。
通常、カラオケボックスは時間制の料金設定だが、「COCOKARA」では1曲100円(設置するロケーションによって若干変動あり)で歌えるため、1、2曲だけでも構わない。買い物ついでに、学校帰りに友達と、1日1曲健康日課として、幅広い世代が気軽にカラオケを楽しむことができる。
2019年10月に発売した直後にコロナ禍が起こったため、当初は伸び悩んだものの、現在ではホームセンターやゲームセンター、ボウリング場などのアミューズメント施設を中心に「COCOKARA」の設置が進んでいる。ちょっとした隙間時間の有効活用にもなるため、コインランドリーやオフィスの休憩室、駅構内などにも導入実績がある。
同社では今後、スーパーマーケットにFC店舗「カラオケCLUB DAM」と省スペース型カラオケ「COCOKARA」の導入を増やし、カラオケ利用者の裾野を広げていくこともめざしていく。
電話(代表):03-3280-2151
(平日10:00~18:00)
〈コーポレートサイト〉
www.dkkaraoke.co.jp
〈カラオケCLUB DAM 〉
www.karaokeclub.jp