米国ポテト協会は米国産ポテトのマーケティング団体。日本では、日本代表事務所が米国産ポテトの優位性と品質を紹介すると同時に、小売業に向けた販促プロモーションの提案を行っている。今期はWBC(ワールドベースボールクラシック)の開催期間に向けて、「家族で野球観戦フェアwithポテト」と題する店頭販促を提案し、大きな成果につなげている。実際に参画したチェーンに、実施のねらいと効果を聞いた。
冷凍ポテト購買層の傾向に着目して成功
オオゼキ
東京都、神奈川県の都市部で店舗展開するオオゼキは、以前から米国ポテト協会とPOSデータをベースにした顧客分析を目的とした情報交換を行っており、そのバスケット分析の結果から、冷凍ポテト購買層のバスケット単価が高い傾向に着目。冷凍ポテト購買層は、調理機会が多く、その他の商品の売上を押し上げる、という仮説に立って、今回の企画に参加することにした。同社執行役員・第二商品本部本部長の渡邊正樹氏は「きっかけとなるWBCについても、日本がいいところまで行けるという、お薦めもあったので、全店で展開することにしました。野球観戦に合いそうなビールと冷凍ポテトを訴求することにし、定番にはない1㎏サイズの米国産冷凍ポテトも展開。米国ポテト協会さんのPOPを掲げ、ビールと合わせてチラシ掲載しました」と言う。
期間は3月7日〜3月21日まで。この15日間の販売数量を見ると、既存米国産冷凍ポテト定番品で121.2%、イベント向けに導入した米国産大容量品と合わせると、149.6%アップしている。
同社第二商品本部デイリー部門・課長代理の田中渡氏は「野球観戦とポテトを訴求するPOPを掲げたことで注目度が高まりました。冷凍ポテトについて、これまであまり戦略的にチラシ掲載するなどの取り組みは行ってきませんでしたが、イベントをきっかけにした販促を行うだけで、これだけの反応が出たということに驚いています。今後も大きなスポーツイベントがあるので、うまく絡めて提案していきたいです」と語っている。
冷凍ポテトの手軽さやおいしさを知ってもらうきっかけに
マルト
福島県、茨城県でスーパーマーケット37店舗を展開するマルトも、「家族で野球観戦フェア」に全店が参加した。マルト商事商品本部グロサリー本部・取締役本部長の渡邉 淳氏は、「WBCと絡めたご提案をいただいて、正直なところ、やや半信半疑な思いで参加しました。店舗もあまり大きくないので、定番の平型ケースやリーチインに、提供いただいたPOPを掲げたくらいでほかには、冷凍ポテト向けのシーズニングをクロス展開する程度。あまり手はかけていません。しかし、結果は期間前と比較して米国産冷凍ポテトの数量PI値が12%上昇するという驚くような販売実績につながりました」と語る。
売場展開期間はWBC開催期間とほぼ重なる3月6日からだったが、決勝戦終了後の22日以降も、月末まで売場を展開した。国内プロ野球開幕にも適用できるという判断からだった。
「結果から判断すると、もっとしっかり売場をつくり、価格訴求やチラシ掲載などを絡めていたら、200%くらいいけたのではないかと、やや残念に思っています。しかし、これまであまり注目されていなかった冷凍ポテトの新規客層が増え、手軽さやおいしさを実感していただいたと思いますので、今後のリピートにつながると期待しています」(渡邉 氏)。
秋以降もさまざまなスポーツ観戦需要や
キャンプ需要などが見込める
実際に売場展開で成果を挙げた2社の例でもわかるように、米国ポテト協会では、POSデータ分析から購買動向を分析。バスケット分析や年齢層別の購買傾向に基づく根拠をベースに、さまざまな販促提案を行っている。米国産冷凍ポテトは定番品として多くのチェーンで扱われているが、販促の戦略ひとつで大きく販売実績を伸ばす成功事例を積み重ねている。
また、同協会では、冷凍ポテトがほかの冷凍野菜より季節変動が少ないという特徴を踏まえ、年間の販促カレンダーを発行。毎月10日の「アメリカンポテトの日」をはじめ、季節催事やアウトドアシーズンの需要などに合わせた販促提案や、メニュー提案を多数盛り込んでいる。
外食シーンから日本で普及してきた米国産冷凍ポテト製品のさらなる認知拡大と、市場の活性化を図っていく方針だ。