牛乳・乳飲料市場、機能を強化した乳飲料が好調、外出自粛生活で健康意識がアップ!

山田陽美(ライター)
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森永乳業、たんぱく質摂取意向の拡大に対応してたんぱく質を強化した牛乳類を投入

コロナ禍による生活環境の変化により、健康意識がさらに強まり、牛乳に対する期待も高まっている。「森永のおいしい牛乳」シリーズは前年を上回って推移しており、昨年春にリニューアルした「PREMiL(プレミル)」は大きく伸長した。この春には、森永製菓のロングセラー「inブランド」と、同社の開発技術でプロテイン市場に本格参入。流通からも注目を集めている。

健康意識の高まりで「PREMiL」は好調に推移

森永乳業の商品

 2020年は内食化が定着したことで牛乳市場は好調で、とくに1回目の緊急事態宣言期間の4月、5月は2ケタ増となった。休校になったことで、家庭での子供の飲用も増分に寄与。森永乳業の「森永のおいしい牛乳」シリーズも好調で、20年は対前年比5%増の着地を見込む。なかでも昨年10月に地域限定で発売した「森永のおいしい高たんぱく脂肪0」がブランド全体の底上げとなっている。

 牛乳類の飲用の目的はカルシウムやたんぱく質などの栄養素を摂取するためという人が多く、なかでもたんぱく質の摂取意向は上昇傾向にある。これまでの筋肉強化に加え、健康維持や美容などを目的にたんぱく質を摂取する人が増え、幅広い年齢層に浸透している。こうした背景を受け、日常の食生活のなかで、たんぱく質を手軽においしく摂取できる「森永のおいしい高たんぱく脂肪0」を発売。コップ1杯(200ml)あたりで10gのたんぱく質が摂取できる。たんぱく質が強化された商品であることを店頭で目立つようにシールを貼って訴求している。

 一方、毎日のカラダづくりをサポートする「PREMiL」シリーズは昨年春のリニューアル以降好調で、20年は対前年比15%増を見込む。牛乳の2倍のカルシウムを配合していることや、たんぱく質などの栄養素を強化した商品であることをパッケージで訴求したことで、健康に気づかうユーザーから支持された。また、「PREMiL」の健康価値を第三者のお墨付きといったかたちで権威付けし、POPシールで訴求したことも売上の後押しとなった。

 今年3月にはBMIが高めの方の体脂肪を減らす、機能性表示食品の「PREMiLRed」を地域限定(首都圏、東海、北陸、関西)で新発売。カルシウムを牛乳の2倍配合し、同社の森永牛乳と比べて脂肪分を78%カットした。また既存の「PREMiLBlue」は、商品名とパッケージをリニューアル。これまでは「たんぱく質」と表示していたところ、「高プロテイン35g(1本当たり)」と変更。粉末タイプのプロテインを使用している人は、牛乳に混ぜて飲用している人も多く、プロテイン表記にすることで、こうしたユーザーを取り込むのが目的だ。

気分やシーンに合わせて選べるプロテインドリンク「in PROTEIN」

 この春は、森永製菓のロングセラー「inブランド」と同社の乳飲料の開発技術でプロテイン市場に本格参入。さまざまなシーンで飲用できるプロテインドリンク「inPROTEIN」を4月に新発売する。同商品には、森永製菓が特許を持つ関与成分「Eルチン」を配合。「Eルチン」は、そばやアスパラガスなどに含まれる抗酸化成分「ルチン」を酵素処理したもので、プロテインと同時摂取でプロテインの働きを強めるという森永製菓の研究結果がある。容器やプロテイン配合量が異なる4つの商品をラインアップしているので、気分やシーンに合わせて好みの商品が選べる。

 仕事や勉強の合間など、いつでも手軽にプロテインが摂取できるカップ容器はプロテインを15g配合し、2種類のフレーバーを用意した。運動後などのしっかりプロテインをチャージしたい時にぴったりのキャップ付きボトルは、プロテインを20g配合。すっきりとした味わいで運動後もゴクゴク飲める。朝食や間食などに最適な「のむヨーグルト」はプロテインを12g配合。毎日の習慣に取り入れやすくなっている。プロテインと乳飲料は親和性があるため、味に影響を与えづらく、飲みやすいのでリピート購入につながりそうだ。

 流通からの反応もよく、順調な配荷となる見込み。同社では「in PROTEIN」ブランドの強化で市場のさらなる活性化を図る。

「マウントレーニア ソイラテ」が新規ユーザー獲得に貢献

 在宅ワークの浸透によりオフィス需要が減少したことで、チルドカップ乳飲料市場は厳しい状況となっている。チルドカップコーヒー市場をリードする「マウントレーニア」は、コンビニエンスストアでの売上は減少したものの、食品スーパーでは好調で、チャネルごとに遷移が見られた。

 昨年は、俳優の窪田正孝さんを起用したテレビCMや大人気アニメ「エヴァンゲリオン」とのパッケージコラボレーションなどを行い、ブランド全体を盛り上げた。

 また、昨年9月に発売した「マウントレーニア ソイラテ」が好評だ。健康志向の高まりにより、豆乳の生産量は増加しており、カフェショップなどで豆乳を使用した商品が多様化するなど、豆乳関連商品が好調となっている。そこで、同社では自家製抽出したコク深いエスプレッソに豆乳をブレンドしたヘルシーな「ソイラテ」を投入。体を気づかう人や豆乳好きの人など、新たなユーザー獲得に貢献している。同社では今後も、「ソイラテ」をじっくり育成していく考えだ。

 この春は、「さくらの香り」が楽しめるブランド横断企画の商品を発売。コロナ禍で旅行や外出、飲み会などが制限されているなか、おうちの中で少しでも春らしいことを楽しんでもらうため、カフェラテに桜葉エキスを加えたさくらフレーバーラテの「マウントレーニア カフェラッテ さくらラテ」のほか、さくらのやさしい香りを加えた「リプトン さくらティーラテ」、もちもち食感のチーズデザート「クラフト もちもちさくら6P -あずき仕立て-」をラインアップした。メディアでの露出が増えたことで、好調な出足となっている。

 「マウントレーニア」は、今後も「癒しを届ける」ブランドとして、4月からもプロモーションを展開していく予定だ。

森永乳業の「マウントレーニア」と「Miloha」

栄養バランスオレ「Miloha」をフルリニューアル

 1日に不足しがちなカルシウムと栄養素を手軽に摂取できる新栄養バランスオレ「Miloha(ミロハ)」。間食を摂ることへの罪悪感を軽減させてくれる飲料として昨年春に投入した。この春は店頭での訴求力の高いパッケージにリニューアル。シズルを大きくし、素材のおいしさを訴求した。また、従来品比でカロリーを約40%カットし100kcal以下に抑えた。フレーバーは、1日不足分のカルシウムと3種のミネラルが摂取できる「バナナ オ・レ」と、1日不足分のカルシウムと4種のビタミンが摂取できる「フルーツ オ・レ」の2品に加え、5月には新フレーバーを追加予定だ。

 チルドの小容量キャップ付き容器のラインアップは、野菜や果汁が中心となっているが、飲料市場全体で見るとミルク系飲料の需要も大きく、同社では「Miloha」ブランドでユーザーニーズに対応していく考えだ。

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