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欧州ネットスーパー市場で新たな動き、後発ながら急成長するピクニックとローリクの戦略とは

コロナ禍での需要増も追い風に、世界中で市場を拡大しているネットスーパー業界。欧州においては、日本のイオン(千葉県)とも提携したオカド(Ocado)がネットスーパー専業の代表格として名を馳せている。しかし近年は、オランダのピクニック(Picnic)やチェコのローリク(Rohlik)といった後発企業が急成長を遂げ、欧州ネットスーパー市場は激戦の様相を呈している。新興2社のビジネスモデルと成長要因を解説する。

高度な効率化で配送料無料! 蘭食品ECの新星・ピクニック

 近年、欧州のネットスーパー市場においてとくに大きな注目を浴びているのが、オランダのピクニックだ。同社は2015年9月創業と、まだ10年にも満たない企業であるにもかかわらず、すでにオランダの食品EC市場においてトップシェアを誇っている。同国のSM業界専門機関である「スーパーマルクト&レンテ(Supermarkt & Ruimte)」によると、食品EC市場におけるシェアで、ピクニックは22年にオランダ最大のSMチェーンであるアルバート・ハイン(Albert Heijn)を追い抜き、23年4月の調査でも39%とトップを維持している。

 ピクニックがここまでの勢いで成長した理由は、“後発”だからこそ、食品ECに対する顧客ニーズを綿密に分析し、ビジネスモデルに反映したからだ。具体的には、同社は既存のネットスーパーのサービスにおいて、「配達時間枠の幅の広さ」と「配送料の高さ」がユーザーにとっての大きなネックになっていると判断、それを解決するビジネスモデルを生み出したのである。

 ピクニックのネットスーパーでまず大きな特徴となっているのが、配送料を一律無料としている点だ。そのために、あらかじめ一定のニーズが見込め採算が十分に取れると同社が判断したエリアでのみサービスを導入する方針を掲げており、やみくもに対象エリアを広げることはしない。

ピクニックは対象エリア・利用者数を限定しつつ、配送料一律無料を打ち出し人気を集めている

 また、配送料無料を維持するため、配送業務は高いレベルで効率化されている。たとえば対象エリア内であっても、配送能力を超える利用者数の登録は受け付けない。既定の数を超えると「ウェイティングリスト」が用意され、配送車両を増台するなどキャパシティが拡大した段階で、新たな登録を受け付けるという仕組みを取り入れている。

 さらに、あらかじめ配送ルートを固定化し、ユーザーにはルートごとの定められた配達日時候補を提示するかたちをとっていることも、配送コスト抑制と配送料無料化に大きく貢献している。

 配送時にはユーザーの利便性を考慮し、配送日の朝に到着予定時間を20分単位で通知している。その予定時間は非常に正確だ。また、到着の数分前にはプッシュ通知がいくシステムになっている。こうした正確な配達時間を実現するため、

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