英国小売の最大手であるテスコ(Tesco)。インフレ率高まる英国において価格対策に注力するほか、高質プライベートブランド(PB)や、短時間配達サービス「ウーシュ(Whoosh)」の拡大などに取り組む。力強い成長を見せている同社の成長戦略に迫る。※1ポンド=185円換算
インフレ率高まる英国でのテスコの価格対策
英国小売最大手であるテスコは2023年6月16日、23年度第1四半期の決算を発表した。5月27日までの13週間の小売売上高は148億3400万ポンド(約2兆7440億円)と対前年同期比8.2%増だった。売上の72.8%を占める英国事業は同9.0%増で、とくに大型店舗の売上高が同9.9%増と伸長した。
欧州のインフレ率は日米と比べて高い。そのなかでも抜きんでてインフレ率が高いのが、英国だ。食品の小売価格の上昇率が23年3月には前年同月比19%増となり、1977年来の最高を記録した。その後、やや下降したものの高止まっている状態が続いている。
そうしたなか、消費者を含む社会全般から「スーパーマーケット(SM)同士が競争をせず、インフレに乗じて売価を不当に引き上げているのでは」との見方が強まった。食品・日用消耗品市場の4分の3を大手5社が占めている英国において、いわゆる「グリードフレーション(Greed-flation:インフレを口実に企業の利益を増やすために価格を引き上げること)」が行われているのではないかという疑念が持ち上がったのだ。
そこで英国の競争・市場庁(CMA)は5月からSMチェーンに対する調査を実施し、7月にその結果を報告した。CMAによれば、「グリードフレーション」の事実は認められなかったが、牛乳やパンなど食生活に欠かせない10品目については、価格競争がなされているかを引き続き監視することにしたという。
他方、テスコの営業利益額は減少に転じている。テスコはその理由について、
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