EC プラットフォーマーとお客を取り合う!? 中国で進む 買物の“ AI 化”

文:牧野 武文(ライター)

ECを利用するまでのプロセスが変わろうとしている。これまでは、ECアプリもしくはサイト内の検索窓から商品を探す「検索トラフィック」と、外部の広告や友人、インフルエンサーなどによる「推薦トラフィック」の2通りのパターンがあった。

 ところが近年、中国のベンチャー企業・ディープシーク(DeepSeek)が開発したAIにショッピングを「ガイド」させながら、買物する人が増加。AIを経由したECへの流入が第3のプロセスとなっている。

 「ディープシークに商品を紹介してもらうこと」は通称「D選(DeepSeekセレクト)」と呼ばれている。D選には主に4つのメリットがある。

 1つは、個人の特別な事情を考慮して商品を選べることだ。たとえば、敏感肌の人が化粧水を購入し、その商品が肌に合わなかったとする。その場合、ディープシークが化粧水の成分を比較し、次から問題がありそうな成分が入っている化粧水を除外して提案する。

 利用客は売れ行きや流行に関係なく紹介してもらえるので、選択肢が絞られ、自分に合う商品を見つけやすくなる。

 2つめは、AIと対話をしながら商品を絞り込んでいける点だ。難しいプロンプト(指示)を入力しなくても、利用客は会話を重ねながら自分に合う商品を選んでいくことができる。

 3つめは、商品提案に至るまでのプロセスを利用者が理解できる点である。ディープシークについている推論機能を使うと、検索と提案の途中経過を表示できるようになるため、利用者は最終的な結論に納得できるというわけだ。

 4つめは、ディープシークからの提案が商業的なバイアスのない公平なものであるということだ。広告やインフルエンサーにはさまざまな“大人の事情”があり、商品の紹介にバイアスがかかっている。一方で、

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