最短60分でiPhoneが届く!? アマゾンのドローン戦略の新局面

小久保 重信(ニューズフロント記者)

新型機「MK30」導入による今後の新展開

 サービス基盤となる機材の進化も進んでいる。2024年後半から導入が進む新型ドローン「MK30」は、従来機より小型・軽量で、飛行音も低減されている。航続距離が延び、小雨程度の天候でも飛行可能となったことで、より安定したサービス提供が期待されている。

 加えて、アマゾンは24年11月、オペレーターの目視範囲を超えて飛行する「目視外飛行(BVLOS)」の許可をFAAから取得。これにより、より広範囲な顧客へのサービス提供が可能となった。アリゾナ州では「セイムデー・デリバリー・サイト(即日配達拠点)」にドローン拠点を隣接させ、60分以内の配送を実現。カレッジステーションでは、オンライン薬局「アマゾン・ファーマシー(Amazon Pharmacy)」と連携し、処方薬のドローン配達も開始している。ドローン活用の範囲は着実に広がりを見せている。

年5億個配送へ、”空の物流網構築”をめざす

 アマゾンは、ドローン配送を「顧客にとって迅速で便利なショッピング体験を提供するという、揺るぎないコミットメントの延長線上にある」と位置づけている。今後数カ月から数年をかけて、より多くの顧客へサービスを届けるべく、対象地域の拡大を進めていく方針だ。長期的には、30年までに年間5億個の荷物をドローンで配送するという目標を掲げている。

 こうした一連の取り組みは、現時点では米国内の限定的な事例にとどまるが、今後の物流と小売の関係性を考えるうえで重要な動向である。テクノロジーを活用したラストワンマイル配送の進化が、顧客利便性の向上や新たなサービスの創出にどう結びついていくのか。その行方が注目されている。

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