アマゾンとウォルマートが「自動化」で得る本当のリターンとは
アマゾンの決算書によると、2014年度末のグローバル総従業員数は23万800人と記されている。その10年後、昨年度末の総従業員数は155万6000人となっているので、10年間で674%増えたことになる。
しかしコンスタントに毎年増えてきたわけではない。21年の160万8000人をピークにしてその後2年間減少に転じ、24年度は3万1000人増えたのだが、ほぼ横ばいとなっているのである。

21年度から24年度までの4年間の売上高の伸び率はおよそ36%なので、売上の伸びに比例して従業員数が増えていないことになる。この間にフルフィルメントセンターや宅配ハブは増えていて、必要とされる人員数は普通に考えたら増えるはずなので、このデータはある意味奇妙に見えるかもしれない。
答えはシンプルで、オートメーションまたはロボット化が背景にあるのだ。アマゾンの社外秘の内部情報がリークして、昨年末の時点でこう言っていることがわかっている。
「われわれが世界最先端のフルフィルメント・ネットワークを構築する中で、ロボットは今後10年間の雇用曲線をフラットにするために不可欠だ」
データを見る限り雇用曲線はすでにフラットなので、今後10年間もそれを維持するためには引き続きロボットが不可欠だ、と読むことも可能だろう。ちなみに21年度から24年度までの営業利益高の伸びは176%である。従業員1人当たりの生産性が急伸していることは言うまでもない。
サービス向上のための自動化進めるウォルマート
アマゾンが1000人単位で従業員数を記載しているのに対して、
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