米国のリテールメディア市場は拡大を続けている。2027年には1000億ドル(約15兆円)の市場に急成長を遂げると予想されており、今年25年にはついにテレビの広告費を上回るとされている。
全米小売業の上位10社全社がリテールメディア事業に参入を終え、リテールメディアが“当たり前”になってきている米国の最新潮流とは何かをレポートする。
二極化するリテールメディア市場
NRF2025においてリテールメディアという名前を冠したセッションは1つにとどまったものの、NRF2025の前日に開催されたリテールメディア特別セッション「リテールメディアネットワーク(以下、RMN)」にはリテールメディアのエコシステムを構成するさまざまなプレイヤー約500人が参加し、濃密な議論が展開された。
米国リテールメディア市場は「二極化」しつつある。市場シェアの約85%をアマゾン(Amazon.com)とウォルマート(Walmart)が占める中、ビッグ2は豊富な顧客データとタッチポイントを武器に“オンサイト”だけではなく、CTVやソーシャルメディアなど“オフサイト”へのさらなる拡張を行って「広告在庫」の量的拡大を続けている。
一方、ビッグ2ほどの広告在庫量は持てないその他小売業は、いかに広告主にとっての付加価値や、本業の小売ビジネスとの連関性をつくっていけるのかという質的拡大により注力をしている。実は、RMNはビッグ2「以外」のプレイヤーが主に参加し、ビッグ2に対抗するための知恵や事例を結集するというねらいで構成されているのが興味深い。
本セッションの内容も交え、NRF2025から見えた「リテールメディアの5つの最新潮流」を共有する。
潮流❶
インストアリテールメディアが本格普及期へ
米国のリテールメディア市場は、日本とは異なり、EC広告(オンライン広告)を起点に成長している。EC広告の導入が一段落し、リテールメディア2.0として「インストア」への拡張が進んでいる。
25年はまさにこの「インストア広告」が“本格普及期”に入る勢いを強く感じた。キーワードは「店舗を“タイムズスクエア”にしないこと」。生活者にとってまったく関係のない広告が、きらびやかに流されるだけでは店内広告は成功しない。
重要なのは「Contextual Relevancy(広告が閲覧される文脈の関連性)」で、適切なタイミング・場所で、適切な商品が、適切なメッセージで出現することを忘れないようにすることが大切との論が展開された。
具体事例としては、
・・・この記事は有料会員向けです。続きをご覧の方はこちらのリンクからログインの上閲覧ください。
