ついにヨーロッパ本格進出!21年7月、丸亀製麺がロンドン・リバプールストリートに出店 コロナ禍でめぐってきたチャンスとは

若狭 靖代(ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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国内外初ビーガン向けメニューを導入

 

海外限定メニューの「豚骨うどん」

 現地で受け入れてもらうための工夫として、これまでも丸亀製麺では出店地域に合わせたローカルメニューの開発を行ってきた。今回、ロンドン1号店でも「豚骨うどん」「チキンカツカレー丼」などの現地のトレンドを取り入れたローカルメニューを提供するが、とくに注目すべきは“ビーガン向け”メニューの導入だ。ビーガン向けメニューは国内外含めて丸亀製麺では初の取り組み。導入の背景には、現地のマネジメントチームの意見があったという。

 トリドールHDは海外出店の際、「その地域の人でなければわからない感触や、市場の理解が重要」(杉山氏)と考えている。近年、丸亀製麺の海外出店は現地の事情に精通するパートナー企業と協業するジョイントベンチャーの形を取り入れており、ロンドン店でも外食専門の投資ファンド「キャプデシア(Capdesia)」と協業し、現地メンバーがマネジメントを行う。ビーガン向けメニューの導入も、現地ならではの感覚から提案されたものだ。

 ロンドン1号店では、実にメニューの約30%をビーガン向けとし、通常魚介を使用するうどんのだしを植物性のだしに変更したり、天ぷらの衣をビーガン仕様に変更したりするなどした。ロンドンの人口に占めるビーガンの割合は約7%とされている中、メニューの30%をビーガン向けにするのはやや過剰な印象も受けるが、「現地チームによると、30%は最低限のライン」だと杉山氏は言う。

 その理由は、友達同士や家族など複数人で外食をしようとなった時、その中に1人でもビーガンがいると、ビーガン向けメニューが充実していない店はそもそも選択肢にも入れてもらえないためだ。ビーガン向けメニューがあり、その中から自由に選べる幅広いラインアップを備えていることが、ロンドンの飲食店ではもはや常識なのだという。

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