コロナ禍の全米で伸びるハードディスカウンター、アルディとリドルの最新戦略とは

太田美和子(リテイルライター)
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本国のドイツや欧州各国だけでなく、米国でもその存在感を高めつつあるハードディスカウントストア(HDS)のアルディ(Aldi)とリドル(Lidl)。両社とも米国内での出店を徐々に増やしており、それに伴い物流施設の開設も進めているほか、ECで注文した商品の配送エリアも拡大している。両社の米国内での成長戦略を解説する。

アルディ

50億ドルを投資し 出店加速させるアルディ

 コロナ禍で当初の出店計画を延期する小売企業が多いなか、アルディは出店スピードを減速することなく拡大を続けている。

 アルディは2017年6月、5年間で50億ドル(約5500億円)を投資する計画を発表。50億ドルのうち34億ドルを投じて約800店舗を新規出店し、22年末までに米国内の店舗数を2500店舗にする。そして、残りの16億ドルで20年末までに1300店舗を改装・増床するという計画だ。

アルディの外観
アルディは22年末までの5年間で、出店と改装に50億ドルを投資。国内3番目の店舗数の食品小売チェーンをめざす

 19年6月には36番目の州となるノースダコタ州に進出した。さらに20年11月には37番目の州、アリゾナ州に初出店した。

 20年6月に記念すべき2000店舗目をカリフォルニア州に出店したアルディは、今や米国内37州に2100店舗ほどの店舗を構える。同社が現在最も出店に力を入れているのは、進出したばかりのアリゾナ州や全米屈指の人口を誇るカリフォルニア州のほか、フロリダ州、北東部のニューヨーク州やペンシルベニア州だ。21年にはこれらの州への出店を含め、約100店舗を出店予定である。

 このほかにも、アルディが着目している地域がある。メキシコ湾に面した、東はフロリダ州から西はルイジアナ州までのガルフ海岸エリアだ。

 アルディは米国内26カ所に地域本部・配送センターを設けている。このうち、アラバマ州とフロリダ州の両州には合わせて4カ所の地域本部・配送センターがあり、約200店舗への商品供給を行っている。加えて、米国内では27番目、同地域としては5カ所目となる地域本部・配送センターをアラバマ州ロクスリーに建設中だ。広さ5 万2400㎡のロクスリー配送センターは最大100店舗への商品供給が可能で、ガルフ海岸エリアへの商品配送を受け持つ。アラバマ州はもちろん、ジョージア州南部、ミシシッピ州、まもなく進出する予定のルイジアナ州、そして出店に力を入れているフロリダ州のうちの北西部への配送をカバーすることになる。ガルフ海岸エリアには、21年にオープン予定のフロリダ州タラハシーの2店舗を含め、22年末までに35店舗の出店を計画している。なお、ルイジアナ州は38番目の進出州となる。

 アルディの当初の計画では、22年末までに2500店舗体制を構築し、店舗数ではウォルマート(Walmart)、クローガー(Kroger)に次ぐ第3位の食品小売チェーンになることが目標だった。22年末までに2500店舗を達成するのは厳しいが、店舗数第3位のポジションは獲得できそうだ。

平均店舗面積を約2割拡大

 アルディが米国内でこのように出店を急拡大し始めたのは

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