米スーパーマーケット最大手のクローガーは4月14日、同社としては初となるネットスーパー専用の大型自動倉庫の本格稼働を始めると発表した。同社ではこれまで、注文を受けた商品を店頭在庫からピッキングする店舗出荷型のネットスーパーを展開してきたが、今後は倉庫出荷型を組み合わせることで、受注処理能力を拡大させる。
英ネットスーパー専業のオカドグループのシステムを利用したカスタマーフルフィルメントセンター(CFC)と呼ばれる物流倉庫を、クローガーの本部に近いオハイオ州モンローで本格稼働させる。延床面積は約3万4800平方メートルで、生鮮食品を含む数千アイテムの商品を取り扱う。
倉庫内では1000台以上のロボットが自律走行し、保管棚から在庫をピッキングし、商品を袋詰めする担当者の手元まで運ぶ。AI(人工知能)によって、商品をピッキングする順番やトラックによる配送ルートなどを最適化する。今春中にはフロリダ州グローブランドで2カ所目のCFCが稼働を始める。
CFCは半径90マイル(約144キロメートル)圏を配送対象エリアとする。クローガーのネットスーパー利用者は、同社のモバイルアプリまたはウェブサイトで商品を注文した後、受取場所として店頭、店舗駐車場、自宅のいずれかを選ぶ。自宅を選んだ利用者には、CFCから商品を出荷し、届ける。
新型コロナウイルス感染症の影響による巣ごもり需要の拡大で、クローガーの21年1月期のEC(インターネット通販)売り上げは、前期比116%増と急増、100億ドル(約1兆900億円)を突破した。ただ、店頭出荷では受注処理能力に限界があり、ピッキング作業などに人手がかかることが課題だった。クローガーでは、店頭出荷型のネットスーパーでも、オカドのソフトウェアを使って、作業の効率化を進める。
クローガーとオカドは2018年5月に資本業務提携し、オカドが提供するEC物流システムをクローガーが米国内で独占使用する契約を結んだ。クローガーは米国内に計20カ所のCFCを整備する計画で、これまで10カ所の建設が決まっている。
オカドは傘下のオカドソリューションズを通じて、ロボットやAIを活用した自動倉庫システムや配送ルート最適化システム、受注用アプリなどを「オカド・スマート・プラットフォーム」(OSP)として各国の大手小売業に外販している。日本ではイオンがオカドソリューションズと独占パートナーシップ契約を結んでおり、千葉市内にCFCを建設、23年から本格稼働させる計画だ。