世界中の小売に影響 抄録CES2021でウォルマートのダグ・マクミロンCEOが語ったこと
2021年1月、世界最大の民生機器テクノロジーの国際見本市「CES2021」が開催された。初のオンライン開催となった今回は、米家電量販店最大手のベストバイ(Best Buy)、小売世界最大手のウォルマート(Walmart)のCEOが基調講演に登壇し、大きな注目を集めた。コロナ禍収束の兆しはいまだ見えず、人種差別問題も深刻化するなど、数々の課題に直面する中、巨大チェーンの両CEOは何を語ったのか──。
ウォルマートCEO ダグ・マクミロン

「3つの健康をどう保つか」を最優先
ウォルマートでは「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)という感染症が大流行する」という脚本は持ち合わせていませんでしたが、発生後、数週間で優先事項を選び出し、順番を付けていきました。
1番の優先事項は「アソシエイト(従業員)の安全、つまり心と体と家計を健康的な状態に保つこと」です。3つの「健康」をサポートするために、幹部社員が毎日店舗に出向いて従業員の話を聞き、その声をもとにオペレーションの変更や感染対策を実施しました。その実行速度は驚くほどスピーディで、数千万枚の医療用マスクの手配、全店舗のレジと薬局へのシールド設置を短期間で行いました。
2番めはサプライチェーンを機能させ続けることです。初めは食品、その後もさまざまな商品に購買が集中し、サプライチェーンに多大な負担がかかりました。その負担を少しでも軽減しようと、関連部署のメンバーが懸命に取り組みました。
3番めは、他者を助けることです。苦境に陥ったサプライヤーに支援の手を差し伸べました。職を失った50万人を一時的に雇用しました。これまで採用には1週間を要していましたが、24時間から最長でも48時間ほどで合否を決定しました。
4番めは短期的な経営管理です。財務の健全な状態を維持することに細心の注意を払いました。
最後は、戦略の遂行です。COVID-19の大流行によって消費者の購買行動は変化し、ECの利用が増えました。この傾向はさらに拡大し続けるでしょう。当社はこの変化に対応する体制ができていました。そして、今後の拡大に対する準備も整えています。
テクノロジーの“組み合わせ”が重要に
ウォルマートにとって、テクノロジー強化は今に始まったことではありません。サプライチェーンへのテクノロジー導入に取り組んだ時代から現在に至るまで、当社にとってテクノロジーの重要性は変わりません。
ただし、
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