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コロナ禍で好業績のウォルマート 好調要因のデジタル投資とサステナブル経営を徹底解説

ウォルマートのロゴ
写真は2020年6月、米カリフォルニア州で撮影(2021年 ロイター/Mario Anzuoni)

デジタルへの積極投資が好業績を後押し

 新型コロナウイルス(コロナ)禍においても、米ウォルマート(Walmart)の業績は好調だ。図表❶に示すように、コロナの影響が報じられるようになった2020年に入ってからも、四半期売上高で前年実績を3四半期連続で超えている。また、主力の米国事業(ウォルマートUS)では既存店売上高もコロナ禍で衰えるどころか、むしろ昨年度よりも伸長している状況である(図表❷)。

 躍進を続けるウォルマートの成功要因は何だろうか。それは、デジタルへの積極投資と、サステナビリティ(持続可能性)を軸とした経営戦略にある。前者はコロナ禍における直近の業績好調を牽引している。一方、後者はサステナビリティが近い将来「企業として活動を続けるうえで“当たり前”の前提」となっていくなかで、競争優位の源泉となるだけでなく、すでにサステナブル消費を志向する消費者を惹きつけ、企業イメージを向上させている。以下、順に見ていきたい。

 まず、ウォルマートの直近の業績好調には、積極的なデジタル投資が深く関係している。事実、米国事業ではEC売上高が対前年同期比で20年5~7月期に97%増、8~10月期に79%増と急成長しており、ECがコロナ禍における業績好調を牽引している。

 ウォルマートは、デジタルを通じてコロナ禍の生活様式にも対応した顧客体験の向上を実現している。まず、EC経由で注文した商品を店舗で受け取る「オンライン・グロサリー・ピックアップ」(OGP:BOPISと同義)は大きく利用者数を伸ばしている。これは、専用アプリで商品を注文し、受け取る店舗と時間帯を指定すると、ピックアップ専用の駐車スペースまで商品を従業員が持ってきてくれるサービスである。

 また、コロナ禍に対応し、OGPから一歩進んだ「オートメイテッド・ピックアップ」というサービスも、テキサス州を皮切りに拡大しつつある。アプリで注文後、スマートフォンに届くバーコードを、店舗などの受け取り拠点で専用端末に読み取らせると、商品がコンテナに入って自動的に搬出される仕組み。店員と接触せずに商品を受け取ることができる。

 さらには、

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