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韓国クーパン、IPOでビジョン・ファンド投資先の稼ぎ頭に浮上か

韓国クーパン
2月22日、韓国のネット通販大手、クーパンは米ニューヨーク市場への上場によって、ソフトバンクグループ傘下ビジョン・ファンドに最大の資産価値をもたらす投資先企業に浮上する見込み。写真はクーパンの配送トラック。ソウルで2018年6月撮影(2021年 ロイター/Josh Smith)

[東京/ソウル 22日 ロイター] – 韓国のネット通販大手、クーパンは米ニューヨーク市場への上場によって、ソフトバンクグループ傘下ビジョン・ファンドに最大の資産価値をもたらす投資先企業に浮上する見込み。同ファンドの巨額損失から記録的利益までの急転換をさらに後押しすることになる。

ロイターは今月、クーパンがニューヨーク証券取引所(NYSE)上場に向けた新規株式公開(IPO)で企業価値評価500億ドルを目指していると報じた。これは昨年12月にNYSEに上場した、ビジョンファンドの別の投資先である米料理宅配サービス最大手のドアダッシュを上回る価値を同ファンドにもたらす公算が大きい。

ビジョン・ファンドはこのほか、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を運営する北京字節跳動科技(バイトダンス)や東南アジアの配車大手グラブ、中国の同業・滴滴出行(ディディ)に出資している。

事情に詳しい関係者によると、ビジョン・ファンドはクーパンにこれまで27億ドル出資し、株式の37%を取得。大半は、新規投資後の企業価値で87億ドルの水準で行った。今回のIPOで保有株を放出する見込みはないという。

ソフトバンクGとクーパンはコメントを控えた。

ビジョン・ファンドは2020年3月期の巨額な赤字から損益が劇的に改善しており、クーパンに500億ドルの評価が付けばさらなる追い風となる。同ファンドは、ドアダッシュやオンライン不動産売買オープンドアのIPOや、米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーの株価上昇を受けて、今月に過去最大の四半期利益を発表した。

<コロナ流行下で急成長>

ソフトバンクが最初にクーパンに出資したのは2015年。中国のアリババ・グループなどネット通販への投資は軒並み成功している。

クーパンは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に伴う外出自粛期間に急成長を遂げた。アナリストは、同社には先発企業としての優位性があり、動画配信事業にも拡大しているため、500億ドルの企業価値は達成可能だと指摘する。

在庫管理も直接行う韓国のネット通販としては最大規模で、ワイズアップのデータによると、2020年の購入額は21兆7000億ウォン(196億2000万ドル)に上った。

サムスン証券のアナリストは「市場の評価は過剰ではない。クーパンの市場での主導的な地位は上乗せ要因だ」とした。