米ウォルマート、21年1月期のEC売上高は79%増、事業売却で最終減益に

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2021年1月期の業績は、営業収益(サムズクラブの会費収入などを含む)が前期比6.7%増の5591億ドル(約59兆円)、営業利益が9.6%増の205億ドルだった。写真は2020年6月、米カリフォルニア州で撮影(2021年 ロイター/Mario Anzuoni)

 米ウォルマートが2月18日に発表した2021年1月期の業績は、営業収益(サムズクラブの会費収入などを含む)が前期比6.7%増の5591億ドル(約59兆円)、営業利益が9.6%増の225億ドルだった。

 新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり需要で、米国内のEコマース(EC)売上高が79%増加した。一方、英国事業と日本の西友の株式の大半を売却することに伴う関連費用などを損失計上したため、純利益は9.2%減の135億ドルとなった。

 セグメント別の業績は、主力の米国ウォルマート事業の売上高が8.5%増の3699億ドル、営業利益が10.0%増の191億ドルだった。既存店売上高(燃料販売を除く)は8.6%増加した。四半期ごとのEC売上高は第1四半期が前年同期比74%増、第2四半期が97%増、第3四半期が79%増、第4四半期が69%増だった。

 海外事業の売上高は1.0%増の1213億ドル、営業利益は8.6%増の36億ドルとなった。ウォルマートは英大手スーパーのアズダの株式の過半数を売却すると、20年10月に発表。売却手続きが完了するのは22年1月期上半期となる見通しだが、関連損失25億ドルを計上した。また、西友の株式についても85%を売却することを決めている。

 会員制倉庫店のサムズクラブ事業の売上高は8.7%増の639億ドル、営業利益は16.1%増の19億ドルだった。既存店売上高は11.8%増と2ケタの増加だった。

 ウォルマートのダグ・マクミロンCEO(最高経営責任者)は同日、米国内の従業員約150万人のうち、現場従業員42万5000人の平均時給を15ドルに引き上げることを明らかにした。同社は昨秋、米国のスーパーセンター(大型ディスカウントストア)に勤務する従業員16万5000人の時給を引き上げたが、これとは別に待遇改善を行う。

 22年1月期は、英国と日本の事業売却や新型コロナ関連の特需が剥落する影響などから、売上高と営業利益は減少する見込み。事業売却の影響を除けば、売上高は1ケタ台前半の増加、営業利益は微増となる見通しだ。サプライチェーンや自動化、顧客接点への投資を強化することから、設備投資は前期に比べて約4割増の140億ドルを計画する。

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