米小売業「顧客ニーズ適合度」ランキング! アマゾンが初の首位になった事情

小野 貴之 (ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 副編集長)
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EC拡充中のターゲットが急上昇!

 2021年の調査では、通常の結果に加えて、コロナ禍という特異な状況下でのランキングも別途作成し発表している。これはアンケートでのコロナ禍を踏まえた設問への回答状況と、コロナ禍における2020年単年の業績から算定したもの。コロナ禍の顧客ニーズとしては、買物に要する時間の短さや、入店時の列待ち時間の短さが、感染予防上での安全や安心という評価につながり、「スピード」が最重要との分析結果が示されている。

 同ランキングでもアマゾンが首位となっているが、三井物産戦略研究所の高島勝秀氏は、注目ポイントとして、ターゲット(Target)が2位にランクインしたことを挙げる。同社は実店舗でのEC対応を拡充しており、2021年の本調査においても10位と、初めて上位14社に登場している。「顧客への適応度を高め、好業績へとつなげていることがうかがえる」と高島氏は指摘する。

 コロナ禍収束の兆しはいまだ見えず、人種差別問題をはじめ多くの社会問題に直面するなど、米小売の先行きは混沌の様相だ。ウィズコロナ時代を勝ち抜くのはどのプレイヤーなのか。「顧客を知りそのニーズに適合していくことが小売企業の実力であるといえるが、その度合いを測る上でダンハンビーの調査は有益であり、市場動向を見る上では要注視である」(高島氏)。

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記事執筆者

小野 貴之 / ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 副編集長

静岡県榛原郡吉田町出身。インターネット広告の営業、建設・土木系の業界紙記者などを経て、2016年1月にダイヤモンド・リテイルメディア(旧ダイヤモンド・フリードマン社)入社。「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属し、小売企業全般を取材。とくに興味がある分野は、EC、ネットスーパー、M&A、決算分析、ペイメント、SDGsなど。趣味は飲酒とSF小説、カメラ

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