[ワシントン 22日 ロイター] – 米司法省は22日、米小売り大手ウォルマートを相手取り、医療用麻薬「オピオイド」を含む処方鎮痛剤の販売を巡り規制物質法に違反したとしてデラウェア州の地裁に民事訴訟を起こした。違法な処方箋の調剤でオピオイド中毒が国内にまん延するのを助長したと訴えた。
司法省はウォルマートがドラッグストアとして「門番」の義務を真剣に果たさなかったと主張。5000カ所の店舗内ドラッグストアを中毒性の高い鎮痛剤の販売網にする取り組みが2013年6月に既に始まっていたと指摘した。
訴訟を受けてウォルマートの株価は通常取引を1.2%安で終了。同社は文書で「同訴訟は、薬剤師に患者と医師の間に立つことを違法に強いる法的仮説に基づいており、事実上の間違いで満ちている」と反論した。
司法省は訴状で、ウォルマートが「規制物質に関する数千もの不正な処方箋に従い違法に薬を調合した」ほか、「不審な注文の適切な検出・報告ができないと分かっているシステムを数年間にわたり使い続けた」と指摘。
有罪となれば、不正な処方箋一通当たりで最大6万7627ドル、報告されなかった不審な注文一件当たりで1万5691ドルの罰金が科される可能性がある。
司法省はまた、ウォルマートの管理職が薬剤師に圧力をかけ、大量の処方箋を「可能な限り速く」処理するよう要求し、不正なものと分かった処方箋に対して調合を拒否する権利を奪ったとした。
同省民事局のジェフリー・ボサート・クラーク局長代行は記者会見でウォルマートの「違法な」行為が「国家的危機を助長」し、「悲惨な結果」をもたらしたと批判。政府が刑事訴訟を検討しているかとの質問には、民事訴訟から刑事事案について推測すべきではないと答えるにとどめた。
ウォルマートは同訴訟は不適格な医師がオピオイドの処方箋を書くのをそもそも防げなかったという、麻薬取締局(DEA)の「十分に立証された失敗」の責任を転嫁するものだと主張。
DEAのティモシー・シア局長代行は声明で「ドラッグストアが日常的に違法な処方箋で調剤している場合、ウォルマートを含め主体が誰であろうと責任を追及する」と表明した。
オピオイド中毒を巡っては、製薬会社や薬局チェーンなどに対して州当局や地方自治体が3000以上の訴訟を起こしている。米政府の統計によると、1999─2018年の期間にオピオイドの乱用により45万人が死亡している。