[ロンドン 16日 ロイター] – IHSマークイットが発表した12月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)速報値は、総合指数が49.8となり、前月の45.3から上昇したほか、ロイター調査の予想45.8を大きく上回った。
景況の拡大・悪化の分かれ目となる50を依然として下回ったものの、新型コロナウイルス感染拡大第2波とロックダウン(都市封鎖)再導入の影響は従来よりも小さかった。
IHSマークイットのチーフ・ビジネス・エコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「ロックダウン措置が再導入される中、今回のPMIは11月に厳しい悪化局面に再び陥った後で経済が安定に近づいていることを示唆している」と指摘。「その結果として、第4・四半期の低迷は今年これまでに見られたパンデミックによる打撃よりもはるかに小さいとみられる」と語った。
サービス部門PMIは41.7から47.3に上昇。市場予想は41.9だった。雇用指数は49.4と依然として50を下回ったものの、11月の48.2から上昇した。
製造業PMIは53.8から55.5に上昇。市場予想の53.0を上回ったほか、2018年5月以来の高水準となった。工場は多くが操業を続けており、ロックダウンによる影響をサービス部門ほど受けていない。
総合PMIに反映される生産指数は55.3から56.6に上昇した。
総合将来生産指数は60.4から63.8に上昇。ウィリアムソン氏は「各社は新型コロナワクチンへの期待がある中、向こう1年間に対する楽観姿勢を強めている」と述べた。
キャピタル・エコノミクスのジェシカ・ハインズ氏は「総合PMIの大幅な回復は、主にフランスの制限措置の緩和を反映したものだ。第4・四半期のユーロ圏の域内総生産(GDP)は、懸念されていたほど落ちまないかもしれない」と指摘。
その上で「ただ、ドイツでは厳格な制限措置が導入されており、総合的に見れば、サービス業の活動はしばらく低迷が続き、景気回復の重しになるだろう」と述べた。
オックスフォード・エコノミクスのニコラ・ノビレ氏は「ワクチン開発に関する明るいニュースが、企業の予想に好影響を及ぼしている」としながらも「確かに歓迎すべきニュースだが、短期的な見通しは依然として不透明だ。特に制限措置の延長を巡るリスクがある」と述べた。