米卸売物価、10月は前月比+0.3% 物価傾向なお緩やか

ロイター
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米シアトルの通り
米労働省が13日に発表した10月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比0.3%上昇と、6カ月連続で伸びた。シアトルの通り。9月撮影(2020年 ロイター/Lindsey Wasson)

[ワシントン 13日 ロイター] – 米労働省が13日に発表した10月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比0.3%上昇と、6カ月連続で伸びた。食品とガソリン価格が上昇。ただ物価上昇は引き続き緩やかで、労働市場の停滞や新型コロナウイルス感染の再拡大を背景に物価が低迷しているとの見方を後押しした。市場予想は0.2%上昇だった。

前日に発表された10月の消費者物価指数(CPI)は横ばいだった。新型コロナのパンデミックにより、需要は米経済の主要な柱であるサービスからモノに移行した。

9月のPPIは0.4%上昇だった。

10月はモノが0.5%上昇し、PPI全体の上昇要因の60%近くを占めた。9月のモノのPPIは0.4%上昇だった。

10月の前年同月比は0.5%上昇。市場予想は0.4%上昇だった。9月は0.4%上昇していた。

変動の大きい食品・エネルギー・貿易サービスを除いたコア指数は前月比0.2%上昇。9月は0.4%上昇していた。10月の前年同月比は0.8%上昇。9月は0.7%上昇だった。

物価上昇が緩慢なことから、世界大恐慌以来最も深刻な経済危機からの立て直しを図る米連邦準備理事会(FRB)は、超緩和的な金融政策を維持する見通し。

FRBは柔軟な平均インフレ目標を新たに掲げ、理論上は物価が目標の2%を長年下回った後、それを相殺するために一定期間、場合によっては数年間物価が目標を上回ることを容認する可能性がある。

FRBが物価の目安としているコア個人消費支出(PCE)価格指数は、9月に前年同月比1.5%上昇。10月のコアPCE価格指数は今月下旬に発表される。

10月のPPIの内訳は、食品が2.4%上昇。モノの値上がり要因の4分の3近くを占めた。9月は1.2%上昇していた。10月は生鮮・乾燥野菜が26.8%上昇し、全体を押し上げた。

ガソリンや肉、鶏卵、熱可塑性樹脂、資材も値上がりした。

一方、ライトトラックと乗用車は値を下げた。結果として、モノのコア指数は前月から横ばいだった。9月は0.4%上昇していた。

サービスは0.2%上昇。9月は0.4%上昇していた。10月は、1.1%上昇した輸送・倉庫保管がサービス全体の値上がり要因の40%近くを占めた。卸売りや小売り業者の利幅に相当する貿易サービスは0.2%上昇だった。

医療費は0.3%上昇。9月は0.2%上昇していた。ポートフォリオ管理費は0.5%上昇。9月は1.4%上昇していた。航空券は1.2%上昇した。医療費とポートフォリオ管理費、航空券はコアPCE価格指数に組み入れられる。

MUFGのチーフエコノミスト、クリス・ラプキー氏は「生産者レベルでインフレを見いだすのは現時点で難しい。新型コロナ感染第2波で新規感染者が毎日のように過去最多を更新しており、卸売物価が今後数カ月間で急上昇する可能性は低い」と述べた。

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