アマゾンがさらに順位上げ3位にリアル小売でもデジタル投資いっそう進む
2018年度の世界の小売業売上高ランキングでは、米アマゾン(Amazon.com)がまた順位を上げ、米食品スーパー(SM)最大手のクローガー(Kroger)と入れ替わり3位にランクイン。小売市場における存在感をさらに大きくしている。一方、リアル小売業でも積極的なデジタル投資を行い、売上を順調に伸ばしている企業も少なくない。本稿では、上位企業の動向に加え、国・地域、商品セクターの視点からもランキングを分析していく。参考:1ドル=107円
●ランキングについて:デロイトトウシュトーマツは毎年、米『ストアメディア(Store Media)』誌と共同で「Global Powers ofRetailing」を発表している。同レポートで作成している売上高トップ250社ランキングのうち、本稿では上位100社を掲載した。データは、一般に入手可能な情報により、2018年度(19年6月までを期末とする事業年度)について、小売業のみの売上高を米ドルに換算して比較している。
総売上高は増加も売上成長率は鈍化
デロイトが毎年発表している本ランキングは、2018年度(2019年6月までを期末とする事業年度)の公表データに基づいて世界の小売企業から上位250社を選定し、さらにその業績を地域別、商品セクター別に分析したものである。
まずは、世界の小売企業上位250社のランキングから見ていこう(本稿では上位100社までを掲載)。上位250社の18年度の小売売上高は4兆7400億ドルで、1社当たりで換算すると平均190億ドル規模に達し、17年度から2.8%増加している。小売売上高が上位250社の平均を超えた企業の数は55社で、前年度と同数だった。一方、上位250社の為替調整後の対前年度比平均売上高成長率は4.1%で、前年度(5.7%)から低下している。
また、13~18年度の5年間の当期純利益を開示している187社のうち、86.6%(162社)が利益を計上したが、この割合は17年度(91.8%)と比較すると約5ポイント(pt)下がっている。反対に純利益率は、17年度の2.3%から18年度は3.0%に改善。多くの企業が出店や改装、デジタル領域の強化、顧客体験の改善などに資金を投じたため、コストは増加している。
18年度は上位250社にランクインするために、少なくとも39億ドルの小売売上高が必要で、この数字は年々増加傾向にある(17年は37億ドル、16年は36億ドル)。その一因としては、M&A(合併・買収)が積極的に行われたことで各社の事業規模が膨張傾向にあることが挙げられる。
アマゾンが3位に上昇
続いて上位10社にフォーカスしてみると、前年度から顔触れは変わっていない。ただし順位には多少変動があり、トップ2社および下位3社は前年度と同じだったが、米SM最大手クローガー(Kroger)と米ホームセンター大手ホーム・デポ(Home Depot)は順位を落としている。
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