米ドラッグストア大手のウォルグリーン・ブーツ・アライアンスは7月8日、今後5年で最大700店舗にインストア・クリニックを併設すると発表した。医療サービスのビレッジMD(イリノイ州シカゴ)と資本業務提携し、ビレッジMDが運営する「ビレッジ・メディカル」をウォルグリーンの店舗に併設する。
ビレッジ・メディカルには、プライマリ・ケア医師と薬剤師が常駐し、往診と遠隔診療によって年中無休で24時間、患者に対応する。米国では個人が医療保険に加入する際にプライマリ・ケア医を指定する必要があり、専門医を受診する前にプライマリ・ケア医の診療を受けることを求められることが多い。プライマリ・ケア医は内科医や小児科医、産婦人科医などが中心となっている。
ウォルグリーンは昨年11月から、テキサス州ヒューストンの5店舗にビレッジ・メディカルを併設し、実験的に運営してきた。クリニックを利用した患者の満足度が非常に高いことから、設置数を一気に広げることにした。
ウォルグリーンは今後3年間に株式と転換社債により10億ドル(約1070億円)をビレッジMDに投資する。そのうち2億5000万ドルの出資を7月8日に完了した。ビレッジMDはウォルグリーンから調達した資金の80%を、ウォグリーン店舗に併設するビレッジ・メディカルの開設・運転資金に充てる。社債を全て株式に転換した場合、ビレッジMDへのウォルグリーンの出資比率は30%となる。
ウォルグリーンは5年間で500〜700店舗にビレッジ・メディカルを併設し、その後も設置を増やしていく。その半数以上は、医療機関が不足しているエリアとする方針だ。併設するビレッジ・メディカルの面積は大半が300平方メートル程度で、ウォルグリーンとは別の入口を設ける。
米国ではCVSヘルスが、ドラッグストアの「CVSファーマシー」店内とディスカウントストア「ターゲット」の店内薬局において、簡易診療所「ミニットクリニック」を約1100カ所展開している。ミニットクリニックでは、医師は常駐せず、特定看護師(ナース・プラクティショナー)が、軽い咽頭炎など軽症の治療や予防接種、健康診断などを行っている。