ユーロ圏GDP、20年7.7%減の見通し 過去最大の縮小=欧州委

ロイター
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イタリアの市場
欧州連合(EU)の欧州委員会は6日、2020年のユーロ圏実質GDP(域内総生産)について、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響で前年比7.7%減と過去最大の落ち込みになるとの見通しを示した。イタリア・チステルニーノで4月撮影(2020年 ロイター/ALESSANDRO GAROFALO)

[ブリュッセル 6日 ロイター] – 欧州連合(EU)の欧州委員会は6日、2020年のユーロ圏実質GDP(域内総生産)について、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響で前年比7.7%減と過去最大の落ち込みになるとの見通しを示した。物価がほぼ停滞するほか、公的債務と財政赤字が膨れ上がる見込みだ。

欧州委は20年の物価上昇率が0.2%に鈍化すると試算した。21年は1.1%に加速する見込み。GDPは21年に6.3%増へ持ち直すとし、今年の投資は13.3%急減すると予想した。

ジェンティローニ欧州委員(経済担当)は「欧州は前例のない規模の経済的打撃を目の当たりにしている」と述べた。

「景気後退の深刻さと回復の勢いはともに、国によってむらがあるだろう。封鎖措置をどれだけ早く解除できるかや観光業への依存度、財源に左右される」と述べた。

各国が財政出動により経済を下支えようとしていることから、ユーロ圏の財政赤字は20年にGDP比8.5%と、19年の0.6%から拡大する見込み。21年は3.5%へ縮小する。

公的債務は元の状態に減少するのに時間がかかる見通し。20年の公的債務はGDP比102.7%と、前年の86%から急上昇する。21年は98.8%へ縮小するという。

モルガン・スタンレーは欧州委の見通しについて「広域で力強い回復が必要なため、各国は財政赤字に陥る。特に周辺国が回復するために欧州全体の支援は重要だ」と述べた。「回復計画を含む次期EU予算案はまだ作成中だ。融資や補助金の規模や内訳を中心とした詳細が鍵となる」とした。

ジェンティローニ氏は、欧州委の回復計画の詳細策定が「数週間で」完了し、EU首脳が6月に承認するとの見通しを示した。補助金と長期融資の組み合わせと説明したが、詳細には触れなかった。

新型ウイルスのパンデミックの打撃が最も大きい国はイタリアとギリシャ、スペイン、ポルトガル。一方、ルクセンブルクとマルタ、オーストリアは他国よりもうまく切り抜けるとみられる。

ギリシャのGDPは9.7%減と、欧州で最大の落ち込みとなる見込み。続いてイタリアは9.5%減。スペインは9.4%減の見通しだ。

新型ウイルスの被害が欧州で最も大きいイタリアは、財政赤字がGDP比11.1%と最も大幅に拡大する。昨年はGPD比1.6%だった。21年は5.6%へ縮小する見込みだ。

スペインの予算赤字は20年にGDP比10.1%と、昨年の2.8%から拡大する見込み。フランスは20年に9.9%となり、21年は4.0%へ縮小する見通し。

イタリアの公的債務は20年にGDP比158.9%と、欧州で最も大幅に増える見込み。19年は134.8%だった。21年は153.6%に縮小すると予想されている。

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