米小売業者、7億ドルの損失も 新型ウイルス巡る海上物流混乱で

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英デジタル貨物運送ゼンカーゴの幹部によると、新型コロナウイルス感染拡大を背景とする生産と海上物流の停滞により、米国の小売業者の売上高が3月9日─4月20日の期間に7億ドル押し下げられる見込みだ。写真はロイター

[ロンドン/ロサンゼルス 6日 ロイター] – 英デジタル貨物運送ゼンカーゴの幹部によると、新型コロナウイルス感染拡大を背景とする生産と海上物流の停滞により、米国の小売業者の売上高が3月9日─4月20日の期間に7億ドル押し下げられる見込みだ。

幹部のパトリック・ハサニ氏によると、米国市場向けの電子機器や衣服、家具でサプライチェーン(供給網)の途絶が最も深刻となっているという。

中国での工場閉鎖の長期化や人の移動制限、貨物船の運航停止を背景とする海上輸送の停滞を受け、中国との貿易拠点であるロサンゼルス港では積荷を下ろした後の空のコンテナが引き取られずに積み上がる状態となっている。

コンテナ船世界最大手のマースクの広報担当者は、米国から貨物入りコンテナと空のコンテナの両方をアジアに戻すため、大型船3隻を投入すると説明したが、今後の運航についてはまだコメントできないとした。

ロサンゼルス市港湾局のジーン・セロカ港湾局長は、米国で貨物取扱高が最大の同港で空のコンテナが停滞している現状について、「状況が変わってからまだ数週間しか経っていないのに」と嘆いた。

港湾運送会社CMIウエストの幹部は、同社や顧客の施設に1000個近い空のコンテナがあり、通常の水準を大きく上回っていると明らかにした。港湾が人件費削減のために営業時間を短縮しているためだという。CMIの顧客には大手小売業者が含まれる。

中国国内の工場が操業を再開し、生産量が増えても、ロサンゼルス港で空のコンテナが残ったままでは、物流の混乱がさらに悪化する可能性がある。

同港では、クレーンでの荷揚げの55%を中国からの貨物が占めている。同港は第1・四半期に貨物船41隻が寄港をとりやめると見込み、コンテナ取扱量は前年同期比15%減少すると予想している。

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