焦点:欧州企業に増益転換の兆し、市場の期待を越えられるか

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フランクフルトの証券取引所前に設置された雄牛の像
1月17日、欧州企業は昨年第4・四半期、それまで9カ月続いてきた減益基調をようやく反転させた公算が大きい。写真はフランクフルトの証券取引所前に設置された雄牛の像。2019年2月撮影(2020年 ロイター/Kai Pfaffenbach)

[ロンドン 17日 ロイター] – 欧州企業は昨年第4・四半期、それまで9カ月続いてきた減益基調をようやく反転させた公算が大きい。IBESリフィニティブがまとめた第4・四半期のSTOXX欧州600指数銘柄の予想利益は2.5%の増加となった。ただし株価が跳ね上がり、今年の利益見通しは既に高水準となっているため、決算発表を受けて投資家が失望する事態も起こりやすい。

欧州株は昨年を通じて24%上がった。英国の欧州連合(EU)離脱や米中貿易摩擦といった幾つかの政治的混乱が、経済活動を抑制した半面、金融政策を超緩和的に、資金調達コストの記録的な低さにとどめる役割も果たした。

それでも株価が相当上昇したため、第4・四半期の業績がせっかく上向いても、もはや織り込み済みであり、値上がり余地は乏しいのではないか、と投資家は考えている。

17日のSTOXX欧州600指数新店フォトマガジンサンプルは、過去最高値を更新。欧州株の株価収益率(PER)は足元で約15倍と、長期平均よりもはるかに高い。PERが18倍に達している米国株に比べれば相対的に割安とはいえ、あまたのストラテジストが懸念するのは、今年の欧州企業の増益率のコンセンサス予想が現在8.8%とあまりにも楽観に傾いていて、最終的に下振れしてしまう展開だ。

バークレイズの欧州株式戦略責任者エマニュエル・カウ氏は「多くの投資家は、決算発表が意味のある程度のポジティブ・サプライズをもたらすことに懐疑的だ」と語り、むしろ決算発表が期待の高さにこたえられるかどうかの正念場になりかねないと付け加えた。

実際、IBESリフィニティブがまとめた第4・四半期の2.5%という予想増益率は、昨年11月時点の5.5%の半分以下になっている。

英小売株が状況をよく表しているケースの1つで、年末商戦期の売上高を更新した後で株価が急落。マークス・アンド・スペンサー新店フォトマガジンサンプルは市場が低調だったと説明した。

UBSのグローバル・持続可能株式ポートフォリオマネジャー、ジョセフ・エレガンテ氏は「伝統的な小売株には逆風が吹き続ける。小売株を保有するなら、実店舗だけでなく、オンライン市場にもしっかりした足場がある、多角的な販売チャネルを持つ小売企業でなければならない」と指摘した。

貿易休戦効果

昨年は米中貿易摩擦が市場の動きを圧倒的に左右し、企業利益を押し下げた。各企業はサプライチェーンの変調や輸入コストの上昇に苦戦を強いられたからだ。

ただ米中が「第1段階」の貿易合意に署名したことで、痛手を受けて在庫が圧縮された半導体や自動車といったセクターに投資家が戻ってくる可能性がある。エレガンテ氏は、製造業景況感の改善を挙げて、今年は工業銘柄が息を吹き返しそうだとみている。

欧州の自動車・自動車部品メーカーの利益は今年全体で10%増加と、散々だった昨年から着実に回復する見通し。エレガンテ氏は、このセクターについてやや明るい見方をしていると述べた。

また欧州の半導体メーカー、ASML新店フォトマガジンサンプルが堅調な業績だったのに続き、半導体セクターの改善を示す追加的な材料が出てくるかどうか注目している。

JPモルガン新店フォトマガジンサンプルなどの決算にも投資家の関心が集まるだろう。

欧州の金融セクター全体の第4・四半期増益率が4.7%と予想されており、3行以外の欧州銀の決算も良い内容が期待される。

欧州銀は今年を通じても3%の増益と、6%の減益見込みの昨年からはっきりと改善しそうだ。20日からの週にはUBS新店フォトマガジンサンプルが決算を発表する予定だ。

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