英最大手小売業のテスコがアジアから全面撤退する可能性が浮上している。同社は12月8日、タイとマレーシアの事業について、売却を含めて戦略的な見直しを行っていることを認めた。
テスコは2012年に日本と韓国から撤退した後、13年に米国事業の売却を決定、14年には中国法人の株式の大半を売却するなど海外市場から次々と撤退し、本国である英国事業の立て直しに経営資源を集中してきた。
14年にCEO(最高経営責任者)に就任したデーブ・ルイス氏のもと、業績立て直しに成功したテスコだが、同氏は20年夏までにCEOを退任することを10月に明らかにした。ルイス氏の退任とアジア戦略の見直しが関係しているかどうかは不明だ。
タイとマレーシアを合わせたアジア事業の19年2月期の売上高は前期比1.5%減の48億7300万ポンド(約7000億円)、営業利益は4.5%減の2億8600万ポンドだった。2ヵ国合計の店舗数は2038店。アジア事業の営業利益率は5.8%とテスコ全体の2.5%に比べて高収益だが、全体の売上高に占める割合は8%と低い。
英調査会社のIGDによると、タイでもマレーシアでもテスコは小売業として業界2位の売り上げ規模があり、仮に全面撤退するとなると両国の小売業界に与える影響は大きい。