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米卸売物価、11月は横ばい 緩慢な物価圧力示唆

ペンシルベニア州のショッピングモールの様子
米労働省が12日発表した11月の卸売物価指数は前月から横ばいだった。ペンシルベニア州キング・オブ・プルシアで昨年12月撮影(2019年 ロイター/MARK MAKELA)

[ワシントン 12日 ロイター] – 米労働省が12日発表した11月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月から横ばいだった。市場予想は0.2%上昇だった。食品やガソリンが値上がりした一方、サービスが値を下げた。最近は消費者物価指数(CPI)が加速していたものの、依然として物価上昇圧力が弱いことを示唆する。

10月のPPIは0.4%上昇だった。

11月の前年同月比は2カ月連続で1.1%上昇だった。2016年10月以来の弱い伸びだ。市場予想は1.2%上昇だった。

食品とエネルギー、貿易サービスを除いたコア指数は前月から横ばい。10月は0.1%上昇していた。11月の前年同月比は1.3%上昇と、16年9月以来の小幅な伸びにとどまった。10月は1.5%上昇していた。

前日発表された11月のCPIは好調に伸びた。

米連邦準備理事会(FRB)が物価の目安としているコア個人消費支出(PCE)価格指数は10月に前年同月比で1.6%上昇。今年はFRBの目標である2%を下回っている。11月のPCE価格指数は来週発表される。

FRBは前日、金利を据え置いた。経済が緩やかに伸び続け失業率が低水準にとどまることが予想される中、少なくとも来年末までは金利を据え置く可能性が高いことを示唆した。

6日に発表された11月の雇用統計は雇用者数が前月から26万6000人増と、好調に伸びた。失業率は3.5%へ低下し、50年近くぶりの低水準となった。住宅市場や貿易、製造業に関する統計も比較的好調で、米経済が失速しているのではなく、緩やかに伸びていることを示唆している。

ムーディーズ・アナリティクスのシニアエコノミスト、ライアン・スイート氏は「インフレ圧力は問題になっていない」とし、「FRBは予想通りの展開になれば来年は金利変更はないことを示唆しているが、これが裏付けられる結果となった」と述べた。

PPIの前月比の内訳は、エネルギーが0.6%上昇した。10月は2.8%上昇していた。食品は1.1%上昇。10月は1.3%上昇していた。

モノは0.3%上昇。10月の0.7%上昇からは鈍化した。コア指数は0.2%上昇。10月は横ばいだった。

一方、サービスは0.3%下落し、17年2月以来の大幅な落ち込みとなった。10月は0.3%上昇していた。小売りの業者の利幅に相当する貿易サービスが0.6%下落し、サービス全体の値下がり要因の3分の2以上を占めた。

医療サービスは0.2%下落。10月は0.8%上昇していた。医療費用はコアPCE価格指数に組み入れられる。同じくコアPCE価格指数に組み入れられるポートフォリオ管理費は1.2%上昇し、10月の0.9%下落からプラスに転じた。