[北京 10日 ロイター] – 中国国家統計局が10日発表した11月の生産者物価指数(PPI)は、軟調な需要や輸出の低迷が響いて5カ月連続で前年比で下落した。一方、消費者物価指数(CPI)は食品の値上がりで約8年ぶりの大幅な上昇率を記録した。
11月のPPIは前年比1.4%低下。市場予想は1.5%低下、10月は1.6%低下だった。
11月のCPIは前年比4.5%上昇し、2012年1月以来の大幅な伸びを記録。アフリカ豚コレラの感染拡大による豚肉価格の急騰が主因で、上昇率は市場予想の4.2%、10月の3.8%をともに上回った。
ただ、食品とエネルギーを除外したコアインフレ率は前年比1.4%上昇と穏やかな伸びにとどまり、しかも10月の1.5%上昇から減速した。
PPIが予想ほど低下しなかったのは、製造業活動回復の一時的な兆しが寄与した可能性がある。ただ、エコノミストは回復の持続は難しいとみている。
PPIを分野別でみると、石油・ガス精製や化学繊維製造部門が落ち込んだ。
中国は米国と「第1段階」の通商合意に向けて交渉を続けているが、主要な部分でなお溝がある。合意が成立したとしても、経済の減速は当面続くと予想され、政府高官からは2020年の成長目標を6%程度に引き下げるべきとの声も聞かれる。
中国政府は、市場金利や地方政府の特別債発行などの面から数々の景気支援策を打っている。しかし、過去に打ち出したような「洪水のような」大規模な景気対策には否定的だ。
<消費者物価は高止まり>
PPIとは対照的にCPIは大きく上昇。豚肉などの肉の価格高騰が続いているためだ。
豚肉の卸価格の騰勢は幾分和らいだものの、なお1年前の倍以上となっている。
アナリストは、豚肉消費が1年で最も高まる春節(旧正月)に向けて需要は高止まると予想する。前週、財政省は米国産豚肉・大豆の一部について追加関税を免除すると発表した。
経済成長が政府目標(6─6.5%)の下限に向けて減速するなかでの消費者物価の大幅上昇は、当局にとって悩ましい問題だ。
2019年のCPI上昇率の政府目標は約3%。1─11月は2.8%上昇だった。
ゴールドマン・サックスは最近のノートで、CPI上昇率が2020年初めに4─5%になる見込みだとして、来年の目標はこれまでの既定値の3%レベルから引き上げられるとの見方を示した。