世界最大の小売企業であるウォルマート(Walmart)。主力の店舗事業のほか、サプライチェーンの効率化と自動化、ECへの投資も加速し、力強い成長を示している。ECの巨人アマゾンとの競争がいちだんと激化するなか、どのような成長戦略を描いているのか。
連結売上高約79兆円!高インフレで粗利率は悪化
ウォルマートの2022年度の連結売上高は6112億8900万ドル(対前年度比6.7%増)、連結営業利益高204億2800万ドル(同21.3%減)、最終利益高116億8000万ドル(同14.6%減)だった。
ウォルマートとアマゾン(Amazon.com)による売上高世界一のポジション争いが佳境に入りつつあるのだが、アマゾンの成長率がスローダウンしたので先延ばし感が強くなっている。数年前までは今年あたりには1位の座を明け渡すだろうと予測していたのだが、現状だと再来年あたりになりそうだ。
1ドル=130円で換算するとウォルマートの年商は約79兆円である。6.7%の売上高増加分は5兆円に匹敵、セブン-イレブン・ジャパンのチェーン全店売上高(5兆1487億円/23年2月期)を1年間に積み増したことになる。米国小売企業の規模の大きさには毎年のことだが圧倒される。
既存店成長率は連結で8.2%増、米国事業の既存店成長率は7.0%で、ガソリン売上高増を差し引くと6.6%増である。また米国事業の売上高は4205億5300万ドル(対前年度比6.9%増)、営業利益高は206億2000万ドル(同4.8%減)だった。
連結で売上高6.7%増、米国事業が同6.9%増なので、好調だったと言いたいところだが、勘案材料は高インフレである。分野によって異なるので一概に言えないが食品のインフレ率は10%を超えた時期もあり、マクロ経済による影響を考えると前年並み程度だったかもしれないと考えている。
利益率の悪化は、連結粗利益率が25.1%から24.1%へと1ポイント落ちていることが要因となっている。理由として挙げられているのがマーチャンダイジングミックスだ。インフレで買い回り品の売上が伸びず、最寄り品の食品比率が上がったからである。
また昨年初頭に問題化したのが
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