[ニューヨーク 15日 ロイター] – 米国の消費の強さは、経済を支える柱の1つに挙げられることが多く、S&P総合500種が足元で最高値を更新している理由にもなっている。ところが一般消費財株の値動きは、ここ数カ月間さえないままだ。
S&Pの一般消費財セクターが最高値を記録したのは7月15日で、それ以降総合500種は上昇を続けているのに対して、一般消費財は4%近く下落。上値を試しては突破に失敗して水準がじりじりと切り下がり、下降トレンドに入っている様子がうかがえる。
米企業は国内で堅調な消費が維持されていると指摘し続けているのに、一般消費財セクターの株価のほうは振るわない。
実際、今月15日に発表された10月の米小売売上高は持ち直し、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの消費者信頼感指数も反発基調がより鮮明になった。一方、リフィニティブのデータによると、一般消費財セクターで第3・四半期の業績が予想を上回った企業の割合は65%と、S&P総合500種全体の74.6%に届かなかった。同セクターの第3・四半期の前年比増益率も0.9%と、年初に期待されていた9.9%から大きく鈍化した。
アメリプライズ・ファイナンシャルのチーフ市場ストラテジスト、デービッド・ジョイ氏は「業績は全般的にかなり勢いがなくなっている。これは消費にやや一服感が出ている表れかもしれない。消費支出は底堅いとはいえ、頑健というわけではない」と述べた。
調査会社CFRAは、年末商戦期の11月と12月の小売売上高が4.3%増加して1兆500億ドルに達すると予想する。ただ同社の小売りアナリスト、カミラ・ヤヌシェフスキー氏は、売上高が伸びるのは政府機関閉鎖の影響があった前年同期と比べるからという面が強く、実態として1年前ほど消費は強くないとの見方を示した。
ボケー・キャピタル・パートナーズのキム・フォレスト最高投資責任者は「小売りセクターに目を向けている投資家にとって今は非常に事態が分かりにくい。売上高はどうなるのだろうか」と述べた。
ヤヌシェフスキー氏は、一般消費財セクターの動きを左右する大きな要素の1つに米中貿易協議を挙げた上で、第1段階の合意が正式調印されて第2、第3段階の合意への道筋がはっきりしたとの楽観論が出てくれば、同セクターに対して年初のような明るい見方が復活する可能性があると付け加えた。
現在の一般消費財セクターの低迷は、20%強と圧倒的なウエートのアマゾン・ドット・コムの不振が原因だ。投資家は金融やエネルギーといったこれまでに売り込まれて割安化したセクターに資金を移動させ、これらの株価は今月に入って3%余り上昇した。
ナショナル・セキュリティーズのチーフ市場ストラテジスト、アート・ホーガン氏は、一般消費財セクターは、ちょうど投資家が他の出遅れ分野への物色に乗り出そうとした時期に株価がピークアウトしてしまったと説明した。それでも18日からの週は、一般消費財セクターが少なくとも下げ過ぎているとみなす機運になるのではないかとみている。