[東京 18日 ロイター] – 中国国家統計局が18日発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)は前年比6.0%増と、少なくとも27年半ぶりの低い伸びとなった。米中貿易戦争の影響で製造業の生産が不調となり、内需外需ともに低迷した。市場関係者のコメントは以下の通り。
ナティクシスのアジア太平洋担当首席エコノミスト、アリシア・ガルシア・ヘレーロ氏
前年比伸び率は6.0%と市場の予想を下回ったが、主に製造業が足を引っ張ったことが理由だ。われわれは2019年の成長率見通しを6.1%に引き下げた。米国との通商協議で部分合意に達したが、中国が成長を押し上げる余地は限られている。
言い換えれば貿易戦争の影響がついに明確になり、中国経済が刺激策に対してあまり反応していないことも明らかになったということだ。
中国が何か大きな行動を起こさなければ2020年の成長は心配だ。製造業に即効性のある唯一の手段は人民元の下落で、当局はこの方向に傾きつつあるとみている。
コンティナム・エコノミクス(シンガポール)のエコノミスト、JEFF NG氏
成長率は予想通り鈍化したが、落ち込みは予想以上だった。現時点で、第4・四半期国内総生産(GDP)は6%増になると予想する。景気刺激策を講じる余地はない見込みで、伸び率は6%を下回る可能性もある。
中国株式・債券市場に関しては、GDP統計による影響はそれほど大きくないと考える。米国との協議の進展で、これまでに短期的な安心買いが入っており、通商協議に左右されるだろう。
TDセキュリティーズの新興市場担当シニアストラテジスト、ミタル・コテチャ氏
(GDP伸び率は)6%を下回るとの懸念が出ていたが、そうはならなかった。心理的な面で言えば、鉱工業生産が注目される。製造業に一筋の希望の光が見えてきた。通商交渉が進展するとの期待が一段の助けになるだろう。
ウエストパック銀行(シンガポール)のアジア・マクロ戦略トップ、フランシス・チュン氏
伸び率は予想をやや下回ったものの、非常に安定しており、6%を下回らない限り市場はあまり気にしないのではないか。
月次データでは成長モメンタムの一定の回帰が示されているが、機械や通信機器といった一部製品の力強い生産の背景について不明確だった。
全体的にまちまちの結果となっている。きょうはリスクセンチメントにとって前向きな状況となる中、市場はポジティブな解釈をする傾向にあるかもしれない。
UOBのエコノミスト、HO WOEI CHEN氏
我々の予想と一致した。中国にとっては、第3次産業の安定、第3次産業の改善が非常に重要だ。成長率の約半分は第3次産業によるものだ。
ただ減速は今後も続くだろう。
米中通商合意について不透明感はなお強い。12月15日に米国が発動を予定する対中関税が、2020年の中国経済成長率に非常に重大な影響をもたらすだろう。中国政府のこれまでの対応は慎重で的を絞ったものだった。今後もそうなるだろう。
ローンプライムレート(貸出基礎金利、LPR)を通じた利下げが続くとみられるが、大幅な利下げではなく、緩やかな利下げになるだろう。財政政策のほうが、できることははるかに多い。