[ブリュッセル 1日 ロイター] – 欧州連合(EU)統計局が発表した9月のユーロ圏消費者物価指数(速報値)は前年比0.9%上昇と、前月の1.0%上昇から上昇率が鈍化した。エネルギー価格の下落が主な要因となり、上昇率は2016年11月以来の低水準となった。
ロイターがまとめた市場予想は1.0%上昇だった。
エネルギー価格が前年比で1.8%下落した。
9月の消費者物価指数は前月比では0.2%上昇だった。
ただ、欧州中央銀行(ECB)が注目するコアインフレ率(未加工食品・エネルギーを除く)は1.2%と、前月の1.1%から加速。
多くのエコノミストが注目する別のコアインフレ率(未加工食品・エネルギー・アルコール・たばこを除く)も前年比1.0%で、前月の0.9%から加速した。
コメルツ銀行のエコノミスト、クリストフ・ウェイル氏は「向こう数カ月は緩やかな上昇が続く」と予想。ただ「ECBが望んでいる力強い上昇の兆しはまだ見えていない」と述べた。
ECBは中期的に「2%を下回るが2%に近い」インフレ率を目標にしているが、目標は達成できていない。
ECB当局者の間でユーロ圏経済の状況に対する見方見解の相違が顕在化する中、9月は総合インフレ率とコアインフレ率の動きの乖離が顕著となった。
ECBは9月12日の理事会でマイナス金利の深掘りのほか、資産買い入れの再開を含む包括的な緩和策を決定したが、資産買い入れの再開には約3分の1の反対があった。
モルガン・スタンレーのエコノミストは「ECBは先月の緩和措置の影響を見極めた上で、次なる措置を打ち出す」と指摘。各国が積極的な財政出動に動かない中、ECBは一段の措置を取ると予想しているとし、「現時点では追加利下げのタイミングは不透明だが、来年3月に10ベーシスポイント(bp)の追加利下げが実施されると予想している」とした。