米GDP確報値、4─6月期は2.0%増 設備投資が下方改定

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テネシー州スマーナで昨年8月撮影
米商務省が26日発表した第2・四半期実質国内総生産(GDP)の確報値(季節調整済み)は年率換算で改定なしの前期比2.0%増だった。テネシー州スマーナで昨年8月撮影(2019年 ロイター/WILLIAM DESHAZER)

[ワシントン 26日 ロイター] – 米商務省が26日発表した第2・四半期実質国内総生産(GDP)の確報値(季節調整済み)は年率換算で改定なしの前期比2.0%増だった。市場に景気後退(リセッション)の不安が広がる中、設備投資と企業利益が改定値から下方改定され、米経済に影を落とした。

第2・四半期は、個人消費が4年半ぶりの好調な伸びとなる一方、輸出が軟調だったほか在庫投資も減速した。

設備投資は前期比1.0%減と、改定値の0.6%減から下方改定され、2015年第4・四半期以来の大幅な落ち込みとなった。ガスや石油の立坑・油井を含む住宅以外のインフラ投資が11.1%減少し、全体を押し下げた。

米S&P総合500種指数採用企業の利益に相当する、在庫評価・資本減耗調整を除く税引き後利益は3.3%増と、改定値の4.8%増から下方改定された。

軟調な設備投資や緩慢な企業利益は、個人消費が米経済をけん引し続けられるかどうかについて疑念を呼び起こしそうだ。

第1・四半期GDPは3.1%増だった。上半期GDPは2.6%増。

所得面から経済活動を把握する国内総所得(GDI)は1.8%増と、改定値の2.1%増から下方改定された。第1・四半期は3.2%増加していた。

経済成長を見る上でより良い手法とされるGDPとGDIの平均は第2・四半期に1.9%増と、改定値の2.1%増から下方改定された。第1・四半期の3.2%増から減速した。

景気拡大は過去最長期間となる11年目に入ったが、15カ月近く続いている米中貿易摩擦が経済のリスクになっている。貿易摩擦は製造業や設備投資に打撃を与え、景気後退への懸念が浮上。国債市場では景気後退の予兆とされる長短金利の逆転が起きた。

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は18日、「経済は緩やかに伸び続ける見通しだ」と発言した上で「世界経済の弱含みや通商政策の先行き不透明感が経済の重しとなり、リスクをもたらしている」と指摘した。08年以来初めてとなった7月の利下げに続き、この日も再び利下げを決めた。

米政権が導入した1兆5000億ドル規模の減税政策と景気刺激策の効果が薄れる中、米経済は勢いを失っている。エコノミストは今年のGDPが約2.5%増となるとみており、トランプ政権の目標である3%増を下回る予想だ。

米経済の3分の2以上を占める個人消費は4.6%増と、14年第4・四半期以来の大幅な伸びだった。改定値の4.7%増から小幅に下方改定された。

失業率は50年近くぶりの低水準にあり、個人消費を押し上げている。ただ、9月に発効した中国製品への関税が不安視され消費者信頼感は最近勢いをなくしており、個人消費に減速の可能性が出ている。また、追加関税も予定されている。

貿易赤字は9807億ドルと、改定値の9825億ドルから改定された。貿易はGDPを0.68%ポイント押し下げる方向に働いた。改定値の寄与度はマイナス0.72%ポイントだった。

在庫は694億ドルと、改定値の690億ドルから小幅に上方改定された。在庫はGDPを0.91%ポイント押し下げた。改定値の寄与度も同じだった。在庫の積み上げの減速は好調な個人消費を反映している。

政府支出は改定値から上方改定された。州・地方政府の支出が当初予想よりも大幅に多かった。住宅建設投資は6四半期連続で落ち込み、金融危機以来の長さとなった。

ロヨラ・メリーマウント大学のSung Won Sohn教授(経済学)は「経済の不透明性を踏まえ、企業は建設や設備面の投資にかなり慎重で、これはあまり良くない兆候だ」と指摘。

MUFGの主任エコノミスト、クリス・ラプキー氏は「中国への全ての追加関税が30%に引き上げられた場合、来年の米経済成長に影響を及ぼし、経済の伸びは事態が悪化しかねない1%の失速状態に近づく」と懸念した。

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