[ワシントン 13日 ロイター] – 米商務省が13日発表した8月の小売売上高は前月比0.4%増と、市場予想の0.2%増を上回った。個人消費が底堅いことを示した。米経済は個人消費が下支え要因となり、引き続き緩やかに伸びるとみられる。
7月の数字は当初発表の0.7%増から0.8%増へ小幅に上方改定された。
8月の前年同月比は4.1%増だった。小売売上高の増加は6カ月連続で、2017年6月以降で最長となった。
自動車とガソリン、建材、食品サービスを除いたコア指数は前月比0.3%増だった。前月の数字は当初発表の1.0%増から0.9%増へ下方改定された。コア売上高は国内総生産(GDP)の消費支出に最も大きく連動するとされる。8月はコア指数が緩やかな伸びにとどまったものの、7月に力強く伸びたことから、個人消費が第3・四半期に健全なペースで伸びたとするエコノミストの見方は維持されるとみられる。
米経済の3分の2以上を占める個人消費は第2・四半期に年率で4.7%増加し、4年半ぶりの大幅な伸びとなった。エコノミストは第3・四半期に個人消費の伸びが4.0%弱に減速するとみているが、経済が緩やかに伸び続けるには十分なペースだ。米国債市場は経済が景気後退入りすることを示唆している。
8月の小売売上高の前月比の内訳は、自動車が1.8%増。前月は0.1%増加していた。建材・園芸用品は1.4%増と、1月以来の大幅な伸びだった。オンライン小売りは1.6%増。前月は1.7%増加していた。医療・日用品は0.7%増。運動・娯楽は0.9%増だった。
一方、ガソリンスタンドは0.9%下落。ガソリンの値下がりを反映した。衣料は0.9%減。電子・家電は横ばい。家具は0.5%減だった。外食は1.2%減と、18年9月以来の大幅な落ち込みとなった。
米連邦準備理事会(FRB)は来週、再び利下げするとみられる。ここ1年間続いている米中貿易摩擦の打撃を和らげる狙いだ。
パウエルFRB議長は先週、景気後退に陥る公算は小さいと述べた上で、過去最長期間続いている景気拡大を維持するため、FRBが引き続き「適切に」行動すると再表明した。7月の連邦公開市場委員会(FOMC)では08年以来の利下げに踏み切った。
MUFGの首席エコノミスト、クリス・ラプキー氏は、堅調な個人消費が継続すれば不況の波は押し寄せないと指摘。「FRBは経済が直面するリスクと対峙する中で、手遅れになるよりも早めに行動しようとしているため、大幅な利下げを行う可能性は低い」と述べた。
ハイフリークエンシー・エコノミクス(ニューヨーク)の首席米国エコノミスト、ジム・オサリバン氏は「これまでの消費ペースは依然強い」とし、「サービスを含め、これまでの第3・四半期実質個人消費の合計は第2・四半期の平均から年率で約3.7%増加しており、GDPにとってポジティブだ」とした。
アトランタ地区連銀の経済予測モデル「GDPナウ」によると、第3・四半期のGDP伸び率は1.9%となっている。第2・四半期GDPは2.0%増だった。個人消費は、失業率が50年近くぶりの低水準にあることや、貯蓄が1兆ドルの高水準にあることが押し上げ要因となっている。