[ワシントン 16日 ロイター] – 米商務省が16日発表した6月の小売売上高は前月比0.4%増と、市場予想の0.1%増を上回った。個人消費が好調であることを示唆した。軟調な設備投資の経済への影響をいくぶん相殺する可能性がある。
5月の数字は当初発表の0.5%増から0.4%増へ小幅ながら下方改定された。6月の前年同月比は3.4%増だった。
市場では今月末の利下げ観測に変更はないとみられている。ネイビー・フェデラル・クレジット・ユニオン(バージニア州)の企業エコノミスト、ロバート・フリック氏は「底堅い個人消費が脆弱な企業投資をある程度穴埋めするのは間違いないが、米連邦準備理事会(FRB)にとって最大の懸案は海外経済と貿易戦争を巡る不確実性であるため、FRBがすぐに利下げを断念するとは考えにくい」と述べた。
自動車やガソリン、建材、食品サービスを除いたコア指数は前月比0.7%増だった。5月の数字は当初発表の0.4%増から0.6%増へ上方改定された。コア売上高は国内総生産(GDP)の消費支出に最も近いとされる。コア指数は4月以降好調で、第2・四半期に個人消費が大幅に加速したことを示唆する。
個人消費は第1・四半期に1年ぶりの小幅な伸びだった。設備投資の弱含みや過剰在庫、米中貿易摩擦、世界経済の鈍化が製造業を圧迫する中、経済は全体的に勢いを失っているが、引き締まった労働市場環境が個人消費を下支えしている。
小売売上高の統計は、米連邦準備理事会(FRB)が今月、10年ぶりとなる利下げに踏み切るとの見方を変える材料にはならないとみられる。ただ個人消費が好調でありコア物価が上昇している兆しがあることから、市場が当初予想していた50ベーシスポイント(bp)の利下げにはならない可能性が高い。パウエルFRB議長は先週の議会証言で、米中貿易摩擦や世界経済の鈍化による経済リスクに対処するために「適切に行動する」と述べた。
アトランタ地区連銀の経済予測モデル「GDPナウ」によると、第2・四半期の米GDP伸び率見通しは年率1.4%増だ。第1・四半期GDPは3.1%増だった。第2・四半期GDPの速報値は26日に発表される。昨年の大規模な減税や財政出動の効果が薄れる中で米経済は減速している。
小売売上高の内訳は、自動車が2カ月連続で0.7%増加した。ガソリンスタンドは2.8%減。ガソリンの値下がりを反映した。建材は0.5%増と、前月の1.5%減から持ち直した。
衣料は0.5%増。オンライン小売は2カ月連続で1.7%増だった。家具は0.5%増えた。
外食は0.9%増。運動・娯楽は横ばいだった。