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米卸売物価指数、6月は前月比+0.1% インフレ抑制示す

テキサス州
12日、米労働省が発表した6月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)の前月比上昇率は0.1%にとどまった。写真はテキサス州で2017年5月撮影(2019年 ロイター/Ernest Scheyder)

[ワシントン 12日 ロイター] – 米労働省が12日発表した6月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)の前月比上昇率は0.1%にとどまった。エネルギーや他の財が2カ月連続でマイナスとなった。PPIの前年比上昇率は1.7%と2017年1月以来約2年半ぶりの小ささだった。

ロイターがまとめたエコノミスト予想は前月比が変わらず、前年比は1.6%の上昇を見込んでいた。

食品とエネルギー、貿易サービスを除いたコア指数上昇率は前月比変わらず、前年比で2.1%だった。5月の上昇率は0.4%、前年比2.3%だったため6月に減速した格好だ。

基調的な卸売物価が低調だったことで、全般的なインフレは当面緩やかにとどまる可能性があることが示唆されたほか、中国製品に対する関税措置の影響がまだ顕在化していないことも示された。

ムーディーズ・アナリティクス(ペンシルベニア州)のシニアエコノミスト、ライアン・スイート氏は「年内はインフレが大きく加速するとは予想していない」とし、「このため、連邦準備理事会(FRB)は7月に利下げを実施し、その後は2020年にかけて金利を据え置くことができる」と述べた。

エネルギーは3.1%下落、5月は1.0%下落していた。財も0.4%下落、5月は0.2%下落していた。財価格の下落要因のうち、約60%がガソリン価格の下落(5.0%)によるものだった。

サービスの上昇率は0.4%で、昨年10月以来の大きさを記録した。

食品は0.6%上昇。鶏卵やフルーツなどの価格が上昇したことで押し上げられた。トウモロコシの上昇率は19.9%と、15年7月以来の大きさだった。

MUFG(ニューヨーク)の首席エコノミスト、クリス・ラプキー氏は「製造業が生産のために利用する中核的な財の価格は、トランプ政権が導入した対中関税措置の影響で上昇していない」と指摘。「これは製造業部門の軟調な需要を示しているため、朗報ではない」と述べた。

医療保健サービス価格は0.2%上昇。5月も0.2%上昇していた。医療保健費用はコア個人消費支出(PCE)価格指数に組み入られるが、30日に発表される6月のPCE価格指数についてエコノミストは0.2%上昇になると予想。前年比では1.7%の上昇が予想されている。

シティグループ(ニューヨーク)のエコノミスト、ベロニカ・クラーク氏は「コアPCE価格指数の上昇率は向こう数カ月は2%を下回る水準にとどまるとみられているが、年後半のプラスの要因により来年初旬には(FRBがインフレ目標としている)2%に達する可能性がある」との見方を示した。