[東京 8日 ロイター] – 日銀の山田泰弘大阪支店長(理事)は8日に開かれた支店長会議後の会見で、近畿地区企業の輸出や生産は中国向けを中心に弱めの動きになっているものの、海外需要は年度後半にかけて増加基調に復していく、との見方を示した。現時点で、米中貿易摩擦は管内企業の収益に大きな影響を与えていない、と語った。
近畿地区経済の基調判断は、前回の4月調査から「一部に弱めの動きがみられる」との文言が加わったものの、全体として「緩やかな拡大を続けている」との認識が維持された。
山田支店長は「輸出と生産は、中国やNIES向けを中心に弱めの動きとなっている」としながら、「米国・欧州向けは底堅く推移しているほか、設備投資など内需は堅調だ。インバウンド消費も好調を維持している」と背景を説明した。
そのうえで、企業ヒアリングや短観における売り上げ・利益計画を踏まえ、先行きは「IT関連財の調整の進捗などを背景に、海外需要は年度後半にかけて増加基調に復していく」との見方を示した。
米中貿易摩擦の管内経済への影響については、「これまでのところ企業収益に大きな影響を与える状況にはなっていない」としたが、「足元の海外経済をめぐる不確実性が、しっかりした内需に影響を及ぼさないか、よく見ていきたい」と警戒感もにじませた。